生涯学習

生涯学習（しょうがいがくしゅう）

生涯学習は、人が生涯にわたって自己の成長や生活の向上を目的として学び続ける活動です。この概念は自己の意思による自発的な学びを重視し、適切な学習手段や方法を自ら選び取ることが重要です。特に日本では、昭和56年の中央教育審議会の答申において、この理念が明文化され、広く認知されることとなりました。

日本における生涯学習の歴史

生涯学習の考え方は日本では江戸時代の藩校や寺子屋にその起源を持ちます。さらに、世界的には12世紀以前から続いており、教育はキリスト教会やラテン語学校などを通じて行われてきました。しかし、日本では明治期に井上円了がこの考え方を提唱したにも関わらず、その後あまり広がらず、戦後は消滅の兆しを見せました。

一方、1970年代以降、ユネスコによって初めて提唱された生涯教育の重要性によって日本国内でも少しずつ注目されるようになりました。心理学者の波多野完治が日本で生涯教育の概念を広めたのもこの時期です。生涯学習は社会教育に関連づけられながら発展し、現在では非公式な教育の意味も含まれるようになっています。

自発的な学びの重要性

今の時代、教育というと子供が学校で学ぶ形態が一般的でしたが、近年では大人も自ら学びをデザインし、実践することが求められています。これにより、個々の興味や情熱に基づいた学びが促進されるようになり、学びの主体性が強調されています。無職や主婦、また引きこもりの人々など、多様な人々が何らかの形で新しい知識やスキルを習得する努力をしており、趣味としてもボランティアとしても学ぶことの価値が見直されています。

リカレント教育

リカレント教育は、生涯学習の一環として特に働きながら学ぶ形態を指します。スウェーデンで提唱された概念であり、学校教育を終えた後の社会人が再び大学などの教育機関で高度な知識や技術を学ぶことです。この考え方は、人生の初期に教育を受けることに偏っていたこれまでの教育政策に反し、生涯を通じて学び続けることを志向しています。必要な技能や知識を向上させることで自己のキャリアを切り開くことが期待されています。

アメリカにおいても、リカレント教育は転職の際に重要視されています。米国では、多くの人が一生の間に多様な職を経験するという現象があり、高度な技術や資格を必要とする職業へ、いつでも挑戦できるよう学び直しを行っています。

日本でも最近では、企業が主体となってリカレント教育を推進する取り組みが増え、政府もその支援に力を入れています。文部科学省や厚生労働省が中心となって、さまざまなプログラムや助成金制度を設け、教育機関の充実を図っています。

大学と生涯学習

最近では、大学においても社会人の学びを支援する制度が充実してきましたが、アメリカと比較するとその効果は薄く若干の課題があります。社会人入学制度があるものの、特に男性がこの制度を利用することには抵抗を感じているのが現状です。しかし、大学における通信教育制度などにより、希望する人が自分のペースで学びを続ける環境が整ってきています。

日本政府の取り組み

日本政府は、社会人の生涯学習を支援するために、マナパスというポータルサイトを通じて多くの情報や助成金制度を提供しています。また、企業内のキャリア育成への支援も強化されており、教育訓練の費用を一部支給する制度などが設けられています。

結論

人々が続けて学ぶことは、自己成長に繋がり、社会全体の発展にも寄与するため、常に変化し続ける現代においては特に重要です。生涯学習は、これからの教育に欠かせない要素であり、今後もその重要性は増していくでしょう。

もう一度検索