田中靖洋

田中 靖洋（たなか やすひろ）

田中靖洋は、1987年6月21日に石川県小松市で生まれた元プロ野球選手（投手）です。右投右打。実兄である田中良平氏もかつて千葉ロッテマリーンズに投手として所属しており、兄弟でプロ野球選手となった経歴を持ちます。

プロ入りまでの歩み

高校時代、当初は捕手を中心に内外野をこなしていましたが、2年生の時に本格的に投手に転向しました。3年生時には石川県選抜チームの一員として日米親善試合に出場する経験を持ちます。夏の甲子園石川大会には、県立加賀高校の五番・投手として出場しましたが、チームは初戦で敗退しました。その年の秋、2005年10月3日に行われたプロ野球ドラフト会議において、高校生ドラフト4巡目で西武ライオンズから指名を受け、プロの世界へ足を踏み入れました。

西武ライオンズ時代

プロ入り後しばらくは一軍での登板機会に恵まれず、ルーキーイヤーの2006年から4年間は一軍登板なしでシーズンを終えました。二軍（イースタン・リーグ）では着実に経験を積み、登板機会を増やしていきました。2010年4月13日に初めて出場選手登録され、同月15日の東北楽天ゴールデンイーグルス戦でプロ初登板を果たします。この試合では1回を投げ1失点でした。その後、急遽ではありましたが、4月29日の千葉ロッテマリーンズ戦でプロ初先発のマウンドに上がりましたが、敗戦投手となりました。この年は中継ぎとして一軍に帯同する時期もありましたが、右肘の痛みに見舞われ、靭帯再建手術を受けることになります。翌2011年はリハビリに費やし、一軍登板はありませんでした。2012年に2年ぶりに一軍登板を果たしますが、定着には至りません。2013年には一軍登板ゼロに終わるも、二軍ではチーム最多となる9セーブを記録するなど、クローザーとしても適性を見せました。オフにはオーストラリアのウインターリーグにも参加し、経験を積みました。2015年には、8月31日の楽天戦でプロ初セーブ、9月12日の日本ハム戦でプロ初勝利を挙げ、シーズン終盤は一軍に帯同しました。この年は18試合に登板し防御率1点台と好成績を残しましたが、オフに戦力外通告を受け、西武を退団しました。

千葉ロッテマリーンズ時代

西武退団後も現役続行を強く希望し、12球団合同トライアウトに参加。ここで最速147km/hを計測するなどアピールに成功し、トライアウト直後に実兄がかつて所属したロッテの入団テストを受ける機会を得ました。この入団テストに合格し、2015年12月にロッテへの入団が正式に発表されました。

ロッテ移籍を機に、それまでのオーバースローからサイドスローへとフォームを大きく変更しました。この転向が功を奏し、リリーフ投手として徐々に頭角を現します。2016年には移籍後初登板を果たし、プロ初ホールドも記録しました。2017年には移籍後初セーブ、初勝利をマークし、防御率1点台と安定した投球を見せます。2018年、2019年と登板数を増やし、特に2019年には44試合に登板し4勝を挙げるなど、プロ14年目で自己最高の成績を残し、ブルペンの一角を担いました。2020年には自身初の開幕一軍入りを果たしますが、右肘の手術を受け戦線離脱。翌2021年も怪我に見舞われながらも復帰し、ブルペンを支えました。しかし、2022年は二軍での調整が続き、一軍では失点する場面も見られ、シーズン終了後の10月6日に現役引退を発表しました。

選手としての特徴・人物

ロッテ移籍後のサイドスロー転向により、右打者へのシュートを武器とする投球スタイルを確立し、救援投手として力を発揮しました。愛称は「やす」「やっさん」のほか、「デンチュー」「アウチューン田中」など、ファンやチームメイトから親しまれていました。チームメイト思いの一面もあり、怪我をした中村奨吾選手の洗髪を手伝ったというエピソードも知られています。

引退後

現役引退後は、そのまま千葉ロッテマリーンズに残り、2023年からは球団のストレングストレーナーに就任し、選手の体づくりをサポートしています。

記録

主な「初記録」は以下の通りです。

初登板：2010年4月15日 対東北楽天ゴールデンイーグルス戦（西武ドーム）
初先発・初奪三振：2010年4月29日 対千葉ロッテマリーンズ戦（西武ドーム）
初セーブ：2015年8月31日 対東北楽天ゴールデンイーグルス戦（楽天Koboスタジアム宮城）
初勝利：2015年9月12日 対北海道日本ハムファイターズ戦（西武プリンスドーム）
* 初ホールド：2016年9月7日 対北海道日本ハムファイターズ戦（札幌ドーム）

背番号は西武時代が「57」（2006年 - 2008年）、「66」（2009年 - 2015年）、ロッテ時代が「47」（2016年 - 2022年）でした。

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