真禅院

朝倉山真禅院

真禅院は、岐阜県不破郡垂井町にある天台宗の寺院で、山号を朝倉山と称します。地元では朝倉山真禅院、朝倉寺、または単に朝倉山とも呼ばれて親しまれています。この寺院は、かつて南宮大社の僧坊として存在していました。

ご本尊

真禅院のご本尊は、無量寿如来（阿弥陀如来）と十一面観世音菩薩です。無量寿如来は、南宮大社の本地仏でもあります。

歴史

真禅院は、南宮大社と深い関わりを持つ寺院です。南宮大社では、近世末まで神仏習合の信仰が行われ、境内には仏堂や仏塔、僧坊などが建てられていました。明治初年の神仏分離令により、三重塔や本地堂などが神社の西方に移築され、現在の朝倉山真禅院となりました。

創建と伝承

真禅院の伝承によると、その前身は天平11年（739年）に行基によって創建された象背山宮処寺であるとされています。その後、延暦年間（790年頃）に、最澄によって南宮神社（現在の南宮大社）と両部習合（神仏習合）され、神宮寺と改称されました。

宮処寺という寺院は、『続日本紀』に天平12年（740年）の記事として記述されており、聖武天皇がこの寺を訪れたことが記されています。また、垂井町内には宮処寺跡とされる奈良時代の寺院跡が存在し、岐阜県の史跡に指定されています。

平安時代から近世

『扶桑略記』には、平安時代に美濃国中山南神宮寺で平将門調伏の修法が行われたことが記されており、南宮神社に神宮寺が存在していたことがわかります。神宮寺は近世末まで存続しましたが、明治時代の神仏分離によって廃絶しました。真禅院は、南宮大社内にあった複数の僧坊の一つでした。

近世の記録には、平将門の乱調伏のため、南宮神社に社僧が置かれ、その時に建立された僧坊の一つが真禅院であるとされています。

近世から現代

真禅院は、文亀元年（1501年）に火災で焼失しましたが、永正8年（1511年）に美濃国守護の土岐政房によって再建されました。その後、慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いで南宮神社とともに再び焼失しましたが、江戸幕府3代将軍徳川家光による南宮大社の再建に合わせて、寛永19年（1642年）に再建されました。

明治元年（1868年）の神仏分離により、南宮神社内の寺院・仏堂が統廃合され、真禅院は現在地に移築されました。移築は明治4年（1871年）に完了し、朝倉山真禅院として再出発しました。その後、昭和57年（1982年）から昭和59年（1984年）にかけて三重塔の修理が、平成27年（2015年）から平成30年（2018年）にかけて本地堂の修理が行われました。

境内

真禅院の境内には、以下の伽藍が配置されています。

本地堂：旧南宮大社の本地堂で、国の重要文化財に指定されています。
観音堂：旧宝珠院であり、旧美濃西国第十七番札所です。
三重塔：国の重要文化財です。
鐘楼：岐阜県重要文化財であり、梵鐘は国の重要文化財に指定されています。
鉄塔：岐阜県重要文化財です。
薬師堂：本尊の薬師如来は岐阜県重要文化財です。
護摩堂：護摩祈祷を行うための建物です。
弁財天堂：弁財天を祀るお堂です。
十王堂：十王を祀るお堂です。

文化財

真禅院には、多くの文化財が所蔵されています。

国指定重要文化財

三重塔：寛永19年（1642年）に建立され、明治初年に南宮神社境内から移築されました。極彩色の文様が施されています。
本地堂：入母屋造瓦葺きの仏堂で、寛永19年（1642年）に建立され、明治初年に南宮神社境内から移築されました。
梵鐘：無銘ですが、撞座の位置などから奈良時代から平安時代前期の制作と推定される古鐘です。

岐阜県指定重要文化財

木造薬師如来立像
鉄塔

所在地

岐阜県不破郡垂井町宮代朝倉2006
南宮大社の西、約1kmの位置にあります。

交通アクセス

鉄道：東海道本線 垂井駅南口から徒歩約30分
バス：垂井町巡回バス「朝倉運動公園」下車、徒歩約2分
車：名神高速道路 関ケ原ICから約10分、養老スマートICから約15分、東海環状自動車道 大垣西ICから約15分

脚注

西美濃三十三霊場第十七札所、美濃七福神（大黒天）としても知られています。

参考文献

『日本歴史地名大系 岐阜県の地名』、平凡社
『岐阜県百科事典』、岐阜日日新聞社、1968
『日本塔総鑑』、中西亨、同朋舎、1978
『解説版新指定重要文化財 建造物I』、毎日新聞社、1981

関連項目

南宮大社

外部リンク

* 朝倉山真禅院

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