砂の美術館

砂の美術館：砂が織りなす壮大な芸術世界

鳥取砂丘を舞台に、砂を素材とした芸術作品を展示する「砂の美術館」は、他に類を見ないユニークな美術館です。2006年の開館以来、ほぼ毎年テーマを変え、世界各国の砂像彫刻家たちがその技術と創造性を競い合っています。砂という儚い素材から生み出される、繊細かつダイナミックな彫刻群は、訪れる人々を魅了し続けています。

開催概要

砂の美術館は、日本で唯一のプロの砂像彫刻家である茶圓勝彦氏がプロデュースを手掛けています。各期ごとにテーマが設定され、それに沿って世界中から集められた彫刻家たちが砂像を制作します。展示作品は、テーマを象徴する歴史的な建造物や人物、物語の一場面など多岐にわたり、そのスケールと精巧さには圧倒されます。また、一般の方が制作したミニ砂像や、来場者を迎えるウェルカム砂像も展示され、バラエティに富んだ作品を楽しむことができます。

開催期間中は、砂像の制作過程を公開するイベントも実施され、作品が完成していく様子を間近で見ることができます。また、日没後には砂像がライトアップされ、昼間とは異なる幻想的な雰囲気を楽しむことができます。砂の質感と光の陰影が織りなす美しい光景は、まさに圧巻です。

展示の変遷

開館当初は野外展示でしたが、第5期からは屋内展示がメインとなりました。これにより、天候に左右されることなく、砂像をより良い状態で鑑賞できるようになりました。以下は、過去に開催された主な展示テーマと作品の例です。

第1期: 「イタリア ルネサンス」テーマに、受胎告知やピエタなどの宗教的な作品が展示されました。
第2期: 「世界遺産・アジア編」として、姫路城、タージマハル、万里の長城といったアジアの著名な建造物が砂で再現されました。
第3期: 「砂で世界旅行・オーストリア編」では、ヴェルヴェデーレ宮殿やシュテファン大聖堂など、オーストリアの歴史と文化を象徴する作品が展示されました。
第4期: 「砂で世界旅行・アフリカ」では、アフリカの風景や野生動物、ヴィクトリア瀑布などが砂像で表現されました。
第5期: 「砂で世界旅行・イギリス編」では、エリザベス1世や大英博物館など、イギリスの歴史と繁栄がテーマとなりました。
第6期: 「砂で世界旅行・東南アジア編」では、アンコールワットやボロブドゥール遺跡など、東南アジアの古代遺跡が砂像で蘇りました。
第7期: 「砂で世界旅行・ロシア編」では、ワシリー大聖堂やエカテリーナ2世など、ロシアの歴史と芸術をテーマとした作品が展示されました。
第8期: 「砂で世界旅行・ドイツ編」では、グリム童話やドイツのお城など、ドイツの文化と物語が表現されました。
第9期: 「砂で世界旅行・南米編」では、マチュピチュやリオのカーニバルなど、南米の歴史と文化をテーマとした作品が展示されました。
第10期: 「砂で世界旅行・アメリカ編」では、マウントラシュモア、ニューヨークの摩天楼など、アメリカの壮大な自然と都市がテーマとなりました。
第11期: 「砂で世界旅行・北欧編」では、フィヨルドの風景や北欧神話など、北欧の美しい自然と物語が表現されました。
第12期: 「砂で世界旅行・南アジア編」では、バーミヤンの大仏やガネーシャなど、南アジアの多様な文化と信仰がテーマとなりました。
第13期: 「砂で世界旅行・チェコ＆スロバキア編」では、プラハ城やカレル橋など、チェコとスロバキアの歴史と文化が表現されました。
第14期: 「砂で世界旅行・エジプト編」では、ギザのピラミッドやアブ・シンベル大神殿など、古代エジプトの壮大な歴史をテーマとした作品が展示されました。

営業案内

砂の美術館は、イベント開催期間中のみ開館しており、期間中は基本的に無休です。営業時間は、平日と日曜は9時から16時（最終入場15時30分）、土曜日は9時から18時（最終入場17時30分）です。ただし、イベント時には時間変更や延長となる場合があります。入館料金は大人800円、小中高生400円（いずれも税込み）です。

アクセス

砂の美術館へのアクセスは、自動車または公共交通機関を利用できます。自動車の場合、鳥取自動車道「鳥取IC」から約20分です。公共交通機関の場合、JR山陰本線・因美線「鳥取駅」からバスを利用します。駅バスターミナルから岩美・岩井線または砂丘線、ループ麒麟獅子に乗り、「砂丘東口」または「砂の美術館前」で下車します。

その他

2014年には、神奈川県横浜市で「ヨコハマ砂の彫刻展」が開催され、砂の美術館が全面的に協力しました。鳥取砂丘の砂を運び込み、茶圓勝彦氏監修の下、大規模な砂像が制作されました。

砂の美術館は、砂という儚い素材から創造される、唯一無二の芸術空間です。テーマごとに変わる展示内容は、何度訪れても新しい発見と感動を与えてくれます。砂が織りなす壮大な世界を、ぜひ体験してみてください。

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