破局噴火

破局噴火：地球規模の脅威

破局噴火は、地下深くのマグマが一気に地表に噴出する、壊滅的な規模の火山噴火です。その噴出規模は計り知れず、地球環境に大きな影響を与え、大量絶滅をもたらす可能性があります。学術的には「ウルトラプリニー式[[噴火]]」や「カルデラ噴火」と呼ばれることもあります。こうした噴火を起こす巨大火山は「スーパーボルケーノ」と呼ばれ、世界各地に存在しています。

語源と定義

「破局噴火」という用語は、小説『死都日本』の作者である石黒耀氏が考案したものです。同小説で描かれた南九州の加久藤カルデラの超巨大噴火が、マスコミ報道で「破局噴火」と誤って使われたことから、一般にも定着しました。現在、国際的な統一された定義はありませんが、日本では噴出量が100立方キロメートル以上、アメリカでは1000立方キロメートル以上を目安とする研究者もいます。

破局噴火のメカニズム

地下のマグマ溜まりには、地圧によってガスが溶け込んでいます。特に珪長質マグマでは、この傾向が顕著です。何らかの原因でマグマが急激に減圧されると、マグマは発泡し、大量のガスを噴出します。その結果、マグマ溜まり全体が爆発し、地殻表層部を吹き飛ばす大規模な噴火が発生します。

通常の噴火とは異なり、破局噴火の破壊力は凄まじく、火砕流は360度全方向に広がり、広大な地域を覆います。半径数十キロメートル圏内の生物は死滅し、大量の噴出物は成層圏界面や中間圏にまで達し、地球の気温低下や種族絶滅の原因となる可能性があります。噴火後は、地表が大きく陥没し、カルデラが形成されます。

破局噴火と通常の噴火の比較

火山噴火の規模を示す火山爆発指数（VEI）では、破局噴火はVEI7～8に相当します。例えば、1991[[年]]のピナトゥボ山噴火（VEI6）と比べても、破局噴火の噴出量は桁違いに多く、火砕流の規模も雲仙普賢岳の噴火の1000万倍にもなります。

過去の破局噴火

日本列島では、過去何度も破局噴火が発生しています。7300年前の鬼界カルデラ噴火、約3万年前の姶良カルデラ噴火、約9万年前の阿蘇カルデラ噴火などが有名です。これらの噴火は、当時の人類社会に大きな影響を与えたと考えられています。

日本国外でも、過去に多くの破局噴火が記録されています。7万5000年前のインドネシア・トバ湖の噴火は、第四紀最大規模の噴火と言われています。その他の事例として、イエローストーン国立公園での3回の巨大噴火、タンボラ山噴火などが挙げられます。

今後の破局噴火

アメリカ合衆国イエローストーン国立公園には巨大なマグマ溜まりがあり、今後噴火する可能性が懸念されています。最新の研究では、噴火の周期は約60万年で、既に前回の噴火から64万年以上が経過していることが分かっています。地震の活発化や地表の隆起など、危険な兆候も観測されています。仮に噴火した場合、地球規模の環境変動や甚大な被害が予想されています。

神戸大学の研究チームは、今後100年間に日本列島でカルデラを形成するような巨大噴火が発生する確率を約1％と推定しています。この確率は低いとはいえ、その被害は甚大であり、防災対策の必要性が指摘されています。

破局噴火は、人類の存亡に関わる可能性のある脅威です。そのメカニズムや過去の事例を理解し、適切な防災対策を講じることで、将来の被害を最小限に抑える努力が不可欠です。

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