砺波郷土資料館

砺波市立砺波郷土資料館：明治の息吹と郷土の歴史が息づく場所

富山県砺波市花園町、砺波チューリップ公園内にある砺波市立砺波郷土資料館は、明治時代の歴史的建造物を生かした郷土博物館です。かつて旧中越銀行本店として使用されていた木造建築は、和洋折衷の美しい意匠が魅力で、移築・改修を経て、現在も地域の文化と歴史を伝える拠点として活躍しています。

建物の歴史と魅力

1909年（明治42年）に建てられたこの建物は、2階建て木造入母屋土蔵造りの構造に、コンクリート様式とギリシャ建築様式を融合させた、和洋折衷の建築美を誇ります。明治時代の宮大工の卓越した技術と、井波彫刻職人による繊細な木彫刻が随所に施され、当時の高度な建築技術を見事に物語っています。

特に、玄関ポーチ天井の白漆喰レリーフや、長さ12mにも及ぶケヤキの1枚板カウンター、金唐革紙の天井、アカンサスをモチーフとした木彫刻、コリント式彫刻を施した飾り柱など、細部に至るまで見どころが満載です。これらの装飾は、当時の銀行としての威容を偲ばせるだけでなく、来館者に明治時代の洗練された美意識を伝えています。2階は、毎月第1土曜日のみ特別公開され、より深く歴史に浸ることができます。

1978年（昭和53年）の移築を経て、1983年（昭和58年）に開館。1982年には砺波市指定文化財（建造物）に指定され、その歴史的価値が認められています。1985年には、鉄筋コンクリート造りの管理収蔵棟が完成し、貴重な資料の保存環境も整備されました。

展示内容と所蔵品

資料館では、砺波地方の民具、出土品などの考古資料、古文書などが展示されています。砺波地域の豊かな歴史と文化を、多角的に理解できる内容となっています。

砺波民具展示室：地域の暮らしを映す鏡

資料館の分室として、砺波市頼成の砺波市立庄東小学校3階に設置された砺波民具展示室には、明治期から昭和30年代頃の砺波地域の農村生活に関する民具約8,500点が展示されています。

これらの民具は、1967年（昭和42年）から始まった地域住民による収集活動の成果であり、農機具の機械化による生活様式の変化を記録する貴重な資料です。衣食住、農具、チューリップ栽培用具など、多様な民具を通じて、当時の農村の暮らしや社会の様子を垣間見ることができます。

2017年には、砺波民具展示室およびとなみ散居村ミュージアムで収蔵されている6,900点の民具が国の重要有形民俗文化財に指定され、その価値が広く認められました。

アクセスと開館情報

砺波郷土資料館と砺波民具展示室は、いずれも無料で見学可能です。JR城端線砺波駅から徒歩、または北陸自動車道砺波ICから車でアクセスできます。開館時間や休館日については、公式サイトをご確認ください。

まとめ

砺波市立砺波郷土資料館は、明治時代の美しい建築と、貴重な郷土資料を通じて、砺波の歴史と文化を深く理解できる施設です。砺波チューリップ公園を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。 地域の暮らしや歴史を体感し、忘れかけていた日本の原風景に触れることができるでしょう。 併設の研究所や分室も合わせて見学することで、より充実した学びが得られます。

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