福井敬治

福井 敬治

福井 敬治（ふくい けいじ、1976年5月12日 - ）は、奈良県出身の元プロ野球選手であり、現在は少年野球の指導者として活動しています。現役時代は、主に内野手として読売ジャイアンツ、そして広島東洋カープの二球団でその才能を発揮しました。

プロ入りまで

智辯学園高等学校に進学した福井氏は、2年生時に遊撃手として甲子園に出場する経験を積みました。1993年春の選抜高等学校野球大会では、初戦で惜しくも敗退。翌1994年夏にはエースピッチャーとしてもチームを牽引しましたが、県大会で涙を飲みました。高校通算では25本の本塁打を記録するなど、打撃面でのポテンシャルも示しました。これらの実績が認められ、1994年のNPBドラフト会議において、読売ジャイアンツから3位指名を受け、プロ野球の世界へ足を踏み入れました。

プロ野球人生

プロ入り後、数年の研鑽を経て、2000年に初めて一軍の舞台に立ちました。2001年には内野守備に加え外野も守るなど、出場機会を増やします。特に印象深い活躍を見せたのが2002年シーズンです。主に内野手として61試合に出場し、チームのセントラル・リーグ優勝に貢献しました。この年、阪神タイガースのエース、井川慶投手との対戦で相性の良さを見せ、「井川キラー」として存在感を示しました。延長戦での決勝本塁打や、井川投手先発時にしばしばスタメン起用されるなど、チームにとって貴重な戦力となります。

しかし、2003年には、守備の評価が高かった福井氏にとって忘れられない出来事もありました。阪神戦での守備固めとして出場した際に、三塁線に上がった平凡なフライを捕球できずエラーとなり、その後チームが大量失点に繋がる一因となったプレーは、インターネット上でも話題になることとなりました。

2004年シーズンの終了後、巨人から戦力外通告を受けますが、現役続行を目指し12球団合同トライアウトに参加。その結果、広島東洋カープへの入団が決まります。

広島移籍後の2005年は、三塁手や二塁手として出場機会を得て、自己最高となる73試合出場、打率.287、25安打という成績を収めました。試合終盤には守備固めとしてもチームに貢献します。2006年もプレーを続けますが、再び状態が振るわず、シーズン終了後に二度目の戦力外通告を受けました。現役続行を希望し再びトライアウトに臨みますが、獲得に名乗りを挙げる球団はなく、この年限りでプロ野球選手としてのキャリアを終えました。

プレースタイルと人物像

福井氏は、内野であればどのポジションも高いレベルで守ることができ、特にショートやサードを本職としながら、強肩も兼ね備えた高い守備力が最大の武器でした。プロの世界で一軍に定着できたのも、この守備力があってこそと言えます。

その一方、非常に明るくユーモアのある性格でも知られていました。ベンチではムードメーカーとしてチームを和ませ、ファンに対しても積極的にパフォーマンスを見せるなど、サービス精神旺盛な一面を持っていました。特に広島時代には、筋肉柄のTシャツを着て「赤ゴジラ（同級生の嶋重宣選手）に対し自分は赤ゴリラ」と名乗るなど、自らを売り込む姿が印象的でした。また、清原和博氏とは関西出身ということもあり親交が深く、広島移籍会見で「清原さんを野次る」と宣言したり、巨人戦での初安打時に清原氏に尻を叩かれたりといったエピソードも残っています。広島入団時には、推定年俸の報道で「万」が抜けて「1000円」と表示されてしまったことも、彼のユニークなエピソードの一つとして語られています。

現役引退後

プロ野球を引退した後も、福井氏は様々な分野で活動を展開しています。引退を決断するまでの過程は、テレビ番組「バース・デイ」でも取り上げられ、多くの視聴者に感動を与えました。番組放送後まもなく、萩本欽一氏が率いる社会人野球チーム、茨城ゴールデンゴールズへの入団を発表。選手としてプレーする傍ら、コーチとしてもチームを支えました。社会人野球でのプレー中には、「シーケル福井」という登録名でオープン戦に出場したこともあります。

また、一時期はお笑いタレントとしての活動が報じられたこともあり、実際にイベント出演の計画もあったなど、その多才ぶりとチャレンジ精神を見せました。

ゴールデンゴールズを退団した後は、少年野球の指導者としての道を本格的に歩み始めます。現在は、自身が代表を務める少年野球教室「KIDSベースボールスクール」や、中学硬式野球チーム「狭山西武ボーイズ」の監督として、次世代の野球選手の育成に情熱を注いでいます。さらに、2020年からは古巣である読売ジャイアンツとOBスカウト契約を締結し、東京エリアの有望選手の情報を球団に提供するなど、プロ野球界との繋がりも保ちながら、野球界への貢献を続けています。

記録

背番号

読売ジャイアンツ：53 （1995年 - 2001年）、35 （2002年 - 2004年）
広島東洋カープ：38 （2005年 - 2006年）

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