福井県立図書館

福井県立図書館：文化と学習の拠点

福井県立図書館は、福井県福井市下馬町に位置する県立の公共図書館です。単なる図書館にとどまらず、福井県文書館、福井県ふるさと文学館という2つの重要な施設を併設しており、歴史資料から文学作品まで、幅広い分野の情報を網羅する複合文化施設となっています。

圧倒的な利用率と充実したサービス

2003年に現在の場所に移転して以降、福井県立図書館は常に高い利用率を誇っています。都道府県人口比における入館者数、個人貸出冊数において、全国トップクラスの記録を何度も達成しており、県民から厚い信頼を得ていることがわかります。

その充実したサービスは、県内各地の図書館との連携にも表れています。県内各市町の図書館を窓口として県立図書館の蔵書を借りることができ、多くの利用者が利便性を実感しています。2007年からは、福井市と小浜市を除く市町の図書館で、県立図書館で借りた本の返却も可能となり、さらに利便性が向上しました。

貴重な歴史資料の宝庫

福井県立図書館には、約105万冊（2020年3月31日現在）もの蔵書があります。その中には、2005年に公開された五箇条の御誓文の草稿など、貴重な歴史資料も含まれています。

併設されている福井県文書館は、県に関する歴史的な資料を収集・保存・公開する機関です。福井県が作成・取得した公文書や古文書を整理・保存し、学術研究や文化向上に貢献しています。特に、デジタルアーカイブ福井は、県立図書館、県文書館、ふるさと文学館が管理する資料を統合したオンラインデータベースで、古文書や歴史的公文書、写真などを閲覧できます。2020年には、越前松平家資料群を一括公開するなど、積極的にデジタル化を進めています。

文学の振興を担うふるさと文学館

福井県ふるさと文学館は、福井県ゆかりの文学者や文学作品に関する資料を収集・保存・展示する施設です。芥川賞作家、津村節子を特別館長に迎え、文学に関する県民の知識向上や文化発展に貢献しています。東京都荒川区ゆいの森あらかわ吉村昭記念文学館との連携協定を締結するなど、活発な活動を展開しています。

地方拠点：若狭図書学習センター

福井県小浜市にある若狭図書学習センターは、福井県立図書館の分館であり、生涯学習センターの機能も併せ持っています。嶺南地域に特化した郷土資料や、海洋関係資料、原子力関係資料などを所蔵しており、地域住民の学習ニーズに応えています。

福井県立図書館の歴史

福井県立図書館の歴史は長く、1950年に開館しました。当初は旧福井藩主松平家の庭園跡地を利用し、その後、1981年には福井市城東に移転、そして2003年には現在の場所に移転しています。各時代において、蔵書数の増加や利用者の増加に対応するため、施設の拡張やサービスの充実を図ってきました。

移転を重ねる中で、図書館の役割は、単なる蔵書の保管場所から、地域住民の学習・文化活動の拠点へと変化してきました。特に、2003年の移転では、郊外への移転に伴う交通アクセスの改善のため、福井駅からの無料バスの運行や、約400台分の無料駐車場の設置など、利用者の利便性を考慮した取り組みが行われています。

ユニークな取り組み：覚え違いタイトル集

福井県立図書館では、利用者の本探しの助けとなるユニークな取り組みも行っています。「覚え違いタイトル集」は、利用者が本のタイトルを思い出せない際に役立つデジタルレファレンスサービスです。職員が日ごろ収集した、利用者から寄せられた覚え違いタイトルをウェブ上に公開しており、そのユニークさからSNSで話題となり、書籍化もされました。この取り組みは、レファレンスサービスの認知度向上と図書館司書の業務効率化に貢献しています。

アクセス

福井県立図書館、県文書館、県ふるさと文学館はJR越美北線六条駅から徒歩15分、フレンドリーバス（無料）を利用すれば駅から直接アクセスできます。若狭図書学習センターはJR小浜線小浜駅から徒歩15分です。いずれの施設も、自家用車でのアクセスも可能です。

まとめ

福井県立図書館は、単なる図書館の枠を超え、歴史資料、文学資料、そして地域住民の学習ニーズに対応する多様なサービスを提供する複合施設です。その規模、利用率、そしてユニークな取り組みは、全国的にも高く評価されています。今後も、地域社会の文化発展に大きく貢献していくことが期待されます。

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