竹中大工道具館

竹中大工道具館

竹中大工道具館は、株式会社竹中工務店が設立した、大工道具を専門とする企業博物館です。兵庫県神戸市に位置し、公益財団法人竹中大工道具館によって運営されています。この博物館は、日本で唯一、大工道具の収集と保存を目的としており、その貴重なコレクションと展示は、日本の木造建築技術の歴史と魅力を伝えています。

概要

1984年の開館以来、竹中大工道具館は日本の大工道具に関するコレクションを拡充してきました。当初は神戸市中央区中山手通に位置していましたが、施設の老朽化と収蔵スペースの不足から、2014年10月4日にJR新神戸駅近くの竹中工務店本社跡地に移転しました。新館は、展示スペースの拡張だけでなく、建物自体が伝統工法で建てられており、博物館としての魅力をさらに高めています。日本博物館協会および兵庫県博物館協会の会員であり、神戸市教育委員会の登録博物館として、地域社会への貢献も果たしています。また、ひょうごっ子ココロンカードやのびのびパスポートの対象施設として、地域の子どもたちの学習機会も提供しています。

沿革

• - 1984年7月：開館
• - 1989年11月：財団法人竹中大工道具館設立許可
• - 2009年3月：常設展示リニューアル
• - 2012年4月：公益財団法人竹中大工道具館へ移行
• - 2014年5月：旧館閉館
• - 2014年10月4日：新館開館

展示・収蔵

竹中大工道具館では、縄文時代から昭和時代までの木造建築に使用された様々な大工道具を展示しています。カンナ、ノミ、ノコギリ、墨掛け道具など、多種多様な道具が、年代順に紹介されています。また、石斧や鉄斧といった原始的な道具も展示されており、技術の変遷を辿ることができます。2014年10月の新館移転時には、約30,500点の資料を収蔵しており、そのコレクションは圧巻です。

木組の紹介

日本の伝統的な木造建築技術である「木組」に焦点を当てた展示も特徴です。釘をほとんど使わずに木材を組み合わせる技術は、まさに職人の技そのものです。原寸大で復元された展示物を通じて、木組の構造や美しさを間近で感じることができます。

• - 唐招提寺金堂組物：国宝である唐招提寺金堂の柱や屋根を、高さ約7mの原寸大復元模型で再現しています。
• - スケルトン茶室：重要文化財である大徳寺玉林院の茶室「蓑庵」の骨格をむき出しにした復元模型で、数寄屋造りの技術を解説しています。

映像展示

鎌倉時代の工事現場を描いた絵巻物をタッチパネルで操作できる映像展示では、大工道具の使い方を解説しています。

木工室

ベテランの宮大工や木工作家が指導する木工教室も開催されており、実際に木工作業を体験できます。

新館の特徴

新館は、鉄筋コンクリート造り（一部鉄骨造り）の地上1階・地下2階建てで、延べ床面積は約1,884m²と旧館の約1.8倍の規模に拡大しています。中庭の土壁は、伝統的な版築壁で、左官職人の手作業により仕上げられています。中庭には江戸時代に使用されていた「だるま窯」を復元して焼いた瓦が敷き詰められています。また、大徳寺玉林院の茶室「蓑庵」を模した茶室棟「一滴庵」も併設されています。建物自体も、漆喰や奈良県産の杉材などが使用されており、伝統的な工法を今に伝える資料としての役割も担っています。

開館日時

• - 開館時間：9時30分～16時30分
• - 休館日：月曜日（祝日の場合は翌日）、年末年始（12月26日～1月7日）
• - 入館料：一般500円、大・高生300円、小・中生100円、65歳以上200円

交通アクセス

• - 山陽新幹線・地下鉄山手線・北神線 新神戸駅 徒歩5分

周辺施設

• - 新神戸オリエンタルシティ（クラウンプラザ神戸、新神戸オリエンタル劇場）
• - 神戸芸術センター
• - 生田川公園

竹中大工道具館は、大工道具の歴史や技術を深く理解できるだけでなく、日本の伝統文化に触れることができる貴重な場所です。

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