笠間駅

JR水戸線が通る笠間駅は、茨城県笠間市下市毛に位置しています。かつて平成の大合併が行われる前の笠間市の中心市街地の玄関口として機能し、当時の市役所をはじめ、笠間日動美術館や笠間稲荷神社、そして笠間城跡が残る佐白山といった、地域を代表する多くの施設や名所への最寄り駅でした。現在、笠間市の本庁舎は常磐線友部駅が最寄りとなっていますが、笠間駅は今もなお、歴史と文化が息づく笠間の主要な観光地を訪れる人々にとって重要なアクセス拠点としての役割を担っています。

歴史

笠間駅の歴史は古く、明治時代に遡ります。1889年（明治22年）1月16日、水戸鉄道の駅としてその歴史の第一歩を踏み出しました。開業からわずか数年後の1892年（明治25年）3月1日には、鉄道事業の譲渡に伴い日本鉄道の駅となります。その後、1906年（明治39年）10月31日に鉄道国有法により国有化され、国の管理下に置かれました。1909年（明治42年）10月12日には線路名称が制定され、正式に水戸線の一部となります。

地域の交通網との連携もありました。1915年（大正4年）11月22日には、笠間駅前と笠間町を結ぶ笠間人車軌道（後に笠間稲荷軌道と改称）が開通しましたが、この軌道線は1930年（昭和5年）11月17日に廃止されています。

駅の機能面では、時代の変化に応じた変遷が見られます。かつて行っていた貨物や荷物の取扱いは、それぞれ1970年（昭和45年）2月20日、1984年（昭和59年）2月1日に廃止されました。そして、1987年（昭和62年）4月1日には国鉄の分割民営化に伴い、東日本旅客鉄道（JR東日本）の駅として新たなスタートを切ります。

近代的なサービスも導入されていきました。1992年（平成4年）12月20日には、切符購入の利便性を高める「みどりの窓口」の営業が始まりました。2001年（平成13年）11月18日には、首都圏を中心に普及していたICカード「Suica」の利用が可能となり、よりスムーズな乗降が実現しました。

その後、「みどりの窓口」は2006年（平成18年）3月14日に営業を終了し、翌日の3月15日には遠隔操作で切符購入や払い戻しなどができる「もしもし券売機Kaeruくん」が導入されました。しかし、この「Kaeruくん」も時代の流れと共にその役目を終え、2012年（平成24年）2月27日をもって営業を終了し、現在は多機能券売機が設置されています。

駅施設についても改良が進められました。2006年（平成18年）にはホームの段差解消工事や跨線橋の架け替えが行われ、新たにエレベーターが設置されるなど、バリアフリー化が進みました。

駅構造

笠間駅は、単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線を合わせた計2面3線の線路配置を持つ地上駅です。昔ながらの木造駅舎が利用客を出迎えます。両ホーム間の移動は跨線橋を利用します。現在は、水戸統括センター（友部駅）の管理下にある業務委託駅として運営されており、駅業務はJR東日本ステーションサービスが受託しています。改札機はSuicaに対応しており、多機能券売機も設置されています。のりばとしては、1番線、2番線が主に利用され、3番線は臨時列車や一部の定期列車（夜間の小山行など）に使用されています。

発車メロディ

笠間駅の特徴の一つに、列車接近や発車を知らせるメロディがあります。2009年（平成21年）3月14日頃に発車メロディが導入され、2014年（平成26年）4月29日にはその曲目が変更されました。使用されているのは、笠間市にゆかりが深いとされる歌手、坂本九氏の代表曲です。1番線では「幸せなら手をたたこう」、2・3番線では「レットキス」が流れます。現在はワンマン運転の普及により、発車ベルのスイッチは撤去されており、車外スピーカーから約14秒間メロディが流れる方式となっています。

利用状況

近年の利用状況を見ると、JR東日本が発表した2023年度（令和5年度）のデータによれば、1日平均の乗車人員は1,125人です。年度ごとの乗車人員の推移も公表されており、利用状況の変化を知ることができます。

駅周辺

駅周辺には、笠間市内の主要なスポットへのアクセスを担うバス停留所が複数あります。駅前のバスターミナルからは「笠間駅」停留所、笠間駅前郵便局の前からは「笠間駅前」停留所からバスが発着しており、周辺地域への移動手段として利用されています。

隣接する駅としては、水戸線において、小山方面に向かう列車では稲田駅が、水戸方面に向かう列車では宍戸駅があります。笠間駅は、これらの駅と共に水戸線の主要駅として機能しています。

もう一度検索