筋斗雲

筋斗雲（きんとうん）

筋斗雲は、漫画『ドラゴンボール』及びその派生作品に登場する、架空の乗り物です。作者の鳥山明が描いたこのキャラクターは、主人公である孫悟空が使用します。そのデザインや設定は、中国の古典文学『西遊記』からインスパイアを受けており、特に主人公の孫悟空が利用する雲に乗る技術から派生しています。

概要

筋斗雲は、空を飛ぶための乗り物として、通常の飛行機を凌ぐ超高速で、推定時速1800キロメートル（マッハ1.5）での移動が可能です。しかし、この雲に乗れるのは、心が清らかな人間だけという特性があります。もし心が悪い人間が乗ろうとすると、雲をすり抜けて落ちてしまうのです。ただし、乗れない人でも、乗れる人にしがみつくことで同乗可能です。

この特性は物語の中で非常に重要です。例えば、劇場版『ドラゴンボール 神龍の伝説』では、亀仙人がこの特性を利用して、どちらの意見が正しいのかを確認するために筋斗雲を「嘘発見器」として使用する場面が描かれています。また、筋斗雲は「筋斗雲」と叫ぶと、どこからともなく飛んでくるというユニークな特徴があります。所有権とは関係なく、乗れない人でも呼び出すことができるのです。

雲の色は、原作では黄色や薄紫が描かれており、アニメでは主に黄色で表現されます。また、アニメでは筋斗雲が動くときに「ピキピキピキ」といった独特の効果音が鳴ります。時には汗をかく描写もあり、まるで人格を持つかのように描かれることもあります。

ジングル村の村長によると、昔は多くの筋斗雲が存在していたものの、人々の心が乱れたために乗る者が減り、今では滅多に見られなくなったとのことです。一方で、亀仙人は「神様から貰った大切な雲」としてその価値を語り、鳥山明は神様がかつて多くの筋斗雲を持っていたと述べており、時代には変遷があったことが示唆されています。

偉大な仙猫カリンが持つ元の筋斗雲は、非常に大きく、必要に応じて好きなサイズに切り取って持ち運ぶことができます。この筋斗雲は、亀仙人がカリンから授かり、悟空に譲られましたが、意外にも亀仙人自身は筋斗雲に乗ることができませんでした。悟空が初めてそれを見た際、食べられるかと尋ねたことに亀仙人が怒った場面も印象的です。

アニメの主題歌「魔訶不思議アドベンチャー!」では、「雲のマシン」として紹介され、生き物ではなく「乗り物」としての位置づけがなされています。鳥山明は、「筋斗雲に乗れたらどこに行きたいか」との質問に対して「純粋じゃないから乗れないのでは」と述べ、自身の考えを語ったほか、筋斗雲を使うことで物語を描く手間が省けると語っています。

劇中での筋斗雲の活躍

物語の始めに、亀仙人から贈られた筋斗雲は、悟空の移動手段として頻繁に使われます。たとえば、レッドリボン軍との戦いでは、雲が一度バズーカで破壊されても、北国のジングル村で呼び出すことで再登場します。さらに、ピッコロ大魔王の配下であるタンバリンによって一度消滅してしまうが、後にカリンから新しい筋斗雲を受け取り、再び空を飛ぶことができます。

物語が進むにつれて、悟空は舞空術を習得し、その速度は筋斗雲を超えるようになります。最終的に、悟空がナメック星へ向かう際には筋斗雲に乗るのはこれが最後の機会となりました。後の物語では、孫悟飯が高校生になった時に再登場しましたが、舞空術が優位のため、あまり活躍の場はありませんでした。しかし、物語の完結後には悟空がウーブに筋斗雲を託すシーンが描かれ、昔の少年悟空を思い起こさせるような姿を見せます。また、アニメ『ドラゴンボールGT』や『ドラゴンボール超』でも登場し、物語に懐かしさを加える役割を果たしています。

筋斗雲に乗れる人々

筋斗雲に乗ることができるキャラクターには以下のような者たちがいます：

• - 孫悟空
• - 孫悟飯
• - 孫悟天
• - トランクス
• - チチ
• - ランチ（青髪）
• - 則巻アラレ
• - 則巻ガジラ
• - ウパ
• - 任意の人魚
• - ウーブ
• - ナム など

特に、『ドラゴンボール アドバンスアドベンチャー』などのゲームや番外作品では、他のキャラクターたちが筋斗雲に乗ることも描かれています。

筋斗雲は、単なる移動手段以上の存在として、悟空の冒険に欠かせないアイテムとなっているのです。

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