筑豊電気鉄道線

筑豊電気鉄道線：北九州から筑豊を結ぶ路面電車型鉄道

筑豊電気鉄道線は、福岡県北九州市八幡西区の黒崎駅前駅から同県直方市の筑豊直方駅までを結ぶ、全長16.0kmの鉄道路線です。路面電車のような車両を使用していますが、全線が鉄道事業法に基づく「鉄道」として運行されています。路線記号はCKで、案内上は「筑豊電気鉄道線」と呼ばれていますが、公式な路線名は存在しません。

歴史：北九州と福岡を結ぶ夢と現実

筑豊電気鉄道線の歴史は、西鉄の前身である九州電気軌道や博多湾鉄道汽船による北九州と福岡市を結ぶ鉄道路線計画に遡ります。大正時代から幾度となく計画が持ち上がりましたが、資金力や戦争、技術的な課題などから実現には至りませんでした。1950年にようやく免許を取得し、1959年に黒崎駅前駅から筑豊直方駅までが開通しました。しかし、当初計画されていた福岡市への延伸は、八木山峠のトンネル掘削という大きな課題をクリアできず断念。現在では、JR筑豊本線・篠栗線（福北ゆたか線）がその役割を担っています。

西鉄北九州線との関係も深く、黒崎駅前駅から熊西駅間はかつて西鉄が第三種鉄道事業者として運営していました。2000年の西鉄北九州線の一部廃止を機に、筑豊電気鉄道が第二種鉄道事業者としてこの区間を引き継ぎ、2015年には完全に筑豊電気鉄道の路線となりました。

運行状況：ラッシュ時と日中の運行間隔の違い

日中は全線通し列車が20分間隔で運行されています。2023年11月以前は、平日と土曜には黒崎駅前-筑豊中間間と全線通し列車が15分間隔で交互に運行されていました。一方、平日の朝夕ラッシュ時には、全線通し列車に加え、区間列車も運行され、5～10分間隔で運行されます。早朝と深夜には車庫への出入庫を兼ねた区間列車も運行されています。

すべての列車に車掌が乗務していましたが、2016年3月からは、朝夕ラッシュ時以外の時間帯において3000形と5000形電車でワンマン運転が導入されました。誤乗防止のため、3000形電車は方向幕をカラー表示に更新しています。

昭和末期には、日中の運行間隔はさらに短く、様々な区間列車や西鉄北九州線への直通列車も運行されていました。しかし、1990年以降はダイヤ改正による減便が続き、特に筑豊中間以南では2012年以降、大幅な減便傾向にあります。現在、線路容量や車両運用上の制約から、全ての列車が各駅停車となっています。回送列車も全駅に停車し、乗客への案内を行っています。

特徴：ライトレールとしての分類と沿線自治体の支援

イギリスのライトレール交通協会（LRTA）は、筑豊電気鉄道線をライトレールに相当する鉄道として分類しています。路面電車型の車両や、都市近郊を走る路線としての特徴が、この分類に繋がっていると考えられます。

近年は利用客の減少が課題となっており、沿線の北九州市、中間市、直方市の三市は2014年度から、路線の維持と活性化のための支援を行っています。新型車両やICカードシステムの導入などの設備投資への支援に加え、直方市では筑豊直方駅からJR直方駅への延伸の可能性も検討されています。

その他の特徴

筑豊直方駅はJR筑豊本線・平成[[筑豊鉄道]]伊田線直方駅とは離れており、徒歩で約10分程かかります。
駅の列車接近メロディはパナソニック電工製のメロディサインが採用されています。
黒崎駅前駅と西黒崎駅間の距離は0.2kmと、日本最短の駅間距離の一つです。
西鉄北九州線にならって、「電停」と呼ばれることもあります。

筑豊電気鉄道線は、その歴史や運行形態、そしてライトレールとしての特徴など、多くの魅力を持つ路線です。沿線自治体の支援も受けながら、今後の更なる活性化が期待されます。

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