紀伊佐野駅

紀伊佐野駅：歴史と変化を刻む紀勢本線沿線の駅

紀伊佐野駅は、和歌山県新宮市佐野地区に位置する、西日本旅客鉄道（JR西日本）紀勢本線（きのくに線）の駅です。大正時代から続く歴史を持つ同駅は、地域の変遷を肌で感じられる、魅力的な場所となっています。

開業から国有化まで

紀伊佐野駅は1913年（大正2年）3月1日、新宮鉄道三輪崎駅から勝浦（現・紀伊勝浦）駅間の開業に伴い、「佐野村停留場」として誕生しました。わずか1ヶ月後の4月17日には駅に昇格し、「佐野村駅」となりました。その後、1934年（昭和9年）7月1日の新宮鉄道の国有化により「秋津野駅」に改称され、紀勢中線の駅となりました。さらに、1940年（昭和15年）8月8日には紀勢西線に所属が変更され、1942年（昭和17年）4月1日には現在の「紀伊佐野駅」へと改称されました。

巴川製紙所と貨物輸送

1945年（昭和20年）8月、近隣の巴川製紙所新宮工場が操業を開始すると、紀伊佐野駅と工場を結ぶ専用線が敷設され、貨物輸送が盛んになります。この専用線は、1994年（平成6年）9月28日にはコンテナ貨物の取扱いを開始するなど、駅にとって重要な役割を果たしていました。しかし、巴川製紙所新宮工場が1995年（平成7年）9月30日に閉鎖されると、貨物列車の発着は廃止され、1996年（平成8年）3月16日のダイヤ改正で設定も廃止されました。その後、2008年（平成20年）4月1日にはJR貨物の駅も廃止され、貨物取扱いは完全に終了しました。

民営化と無人化、そしてICOCA対応へ

1987年（昭和62年）4月1日の国鉄分割民営化により、JR西日本とJR貨物が駅を継承しました。1986年（昭和61年）11月1日には旅客職員の配置が廃止され、無人駅となりました。しかし、駅員は貨物業務に携わっていました。2021年（令和3年）3月13日にはICOCAが利用可能となり、利便性が向上しました。

駅舎と周辺環境

紀伊佐野駅は、島式ホーム1面2線の地上駅で、交換設備を備えています。木造駅舎は、かつては近隣の高校美術部による壁画で彩られていましたが、現在は白く塗り替えられています。駅舎内には待合室が2部屋あり、独特の雰囲気を醸し出しています。無人駅であるため、改札口近くには自動券売機が設置されています。トイレは駅舎の外に設置されています。

駅周辺は、かつての巴川製紙所新宮工場跡地には現在、大型ショッピングセンターであるスーパーセンターオークワ南紀店が立地しています。また、新宮港や、和歌山県立新翔高等学校（旧・新宮商業高等学校）、佐野王子、佐野川なども近隣にあります。国道42号も近くを通っており、交通の便が良い立地です。

近年の利用状況と今後の展望

紀伊佐野駅の利用状況は、近年減少傾向にあります。しかし、ICOCAの導入や周辺商業施設の充実など、利用者の利便性向上に向けた取り組みが継続されています。歴史と現代が共存する紀伊佐野駅は、今後どのように変化していくのか、注目されます。

隣の駅

三輪崎駅
宇久井駅

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