紫波中央駅

岩手県紫波郡紫波町紫波中央駅前1丁目に位置する、東日本旅客鉄道（JR東日本）東北本線の駅です。紫波町内に複数ある駅の中で、比較的新しい駅として知られています。

歴史

紫波町に古くから存在していた駅は隣の日詰駅でしたが、これは紫波町の合併前の自治体の一つであった日詰町の中心部からはやや離れた場所に位置していました。町では長年にわたり新駅設置を強く希望しており、周辺のまちづくり計画と合わせて、住民からの請願によって当駅を設置する運びとなりました。請願駅の建設費用は通常、地元側が負担するのが原則ですが、公費の投入には法的な制限があるため、広く寄付を募る形で資金を調達することになりました。その結果、目標額の2億7000万円にほぼ匹敵する、2億6800万円もの寄付金が集まりました。

1998年（平成10年）3月14日に、当初はプレハブ駅舎で営業を開始しました。駅名は、町内にある三つの駅のほぼ中間に位置し、国道4号や396号、東北自動車道といった主要交通路が集まる、町の交通の要衝であることを考慮して名付けられました。その後、林野庁の補助事業の採択を受け、2001年（平成13年）11月12日には、地元の木材をふんだんに用いた木造平屋建ての新しい駅舎が完成しました。ただし、この駅舎は正式には「紫波中央駅待合施設」と呼ばれる町の所有施設であり、鉄道施設そのものではありません。

開業以来、当駅は無人駅として運営されていましたが、2018年（平成30年）3月17日からは業務委託駅となり、切符の販売窓口が設置されました。これに先立ち、2017年（平成29年）12月11日からは、窓口開設と自動券売機設置のための改良工事が行われています。近年では、2023年（令和5年）5月27日にICカード「Suica」の利用が可能となり、2024年（令和6年）3月9日にはエレベーターの供用が開始されるなど、バリアフリー化も進んでいます。同年10月1日からは「えきねっとQチケ」サービスも導入されました。

駅構造

地上駅で、相対式ホームが2面2線配置されています。各ホーム間は跨線橋を利用して行き来することができます。

駅の運営はJR東日本東北総合サービスが受託する業務委託駅で、盛岡駅が管理しています。簡易Suica改札機が設置されており、2018年（平成30年）3月17日の業務委託駅化に伴い、「みどりの窓口」も設けられました。当初は簡易型の自動券売機が設置されていましたが、有人化に合わせて通常の自動券売機に変更されています。

木造平屋建ての駅舎は、前述の通り町の施設（紫波中央駅待合施設）であり、その建設には地元産の木材が全て使用されています。設計は佐川建築研究所の佐川旭氏が担当し、建設作業は地元の業者が手がけました。延べ床面積は279.89平方メートル、総工費は8182万円で、地域林業経営確立林業構造改善事業を活用した間伐材利用のモデル施設として建設されました。建物の中心にある八角形の塔は、紫波町が合併した1町8村を象徴しており、その両側に大きく広がる屋根は、町民と行政が一体となった翼を、屋根の勾配は岩手県に見られる伝統的な曲屋をイメージしています。また、紫波町が東経140度57分、北緯39度28分に位置することにちなみ、建物に使われた部材の多くに140、57、39、28といった寸法が意識的に用いられています。正面入口を入ると、左手に管理人室、トイレ、ギャラリーが、右手に広々とした待合室が配置されています。改札口付近には、森をイメージした12本の栗の柱が立てられ、床にはビー玉で縁取られた曲線を描く色分けタイルが敷かれ、北上川の流れが表現されています。待合室の梁には樹齢120年のアカマツが使用されるなど、ベンチや机も含め、木材の温かみと持ち味を活かした設計となっています。

利用状況

JR東日本によれば、2023年度（令和5年度）における当駅の1日平均乗車人員は1,295人でした。乗車人員は年度によって変動していますが、概ね1,000人台で推移しています。

駅周辺

当駅は紫波町の中心部に位置し、行政施設や商業施設が集まるエリアにあります。

隣の駅

東日本旅客鉄道（JR東日本）
■東北本線
□快速「はまゆり」（一部列車のみ停車）
■普通

日詰駅 - 紫波中央駅 - 古館駅

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