綱島志朗
綱島志朗（つなしま しろう）は、1978年12月14日生まれの日本の漫画家。岡山県にルーツを持ち、現在は東京都在住の男性作家である。特にメカニックが登場する作品で知られ、代表作に『ジンキ』シリーズや『オリハルコン・レイカル』がある。
幼少期にロボットアニメに強く惹かれ、メカデザイナーになることを夢見ていたという。しかし、その職業への具体的な道筋が見えなかったことから、自身の描きたい世界を表現する方法として漫画家を目指すことを決意した。両親との約束のもと、期間限定で上京し、出版社への持ち込みを開始。複数の会社を巡る中で、エニックス（現在のスクウェア・エニックス）の『月刊ガンガンWING』に持ち込んだ際、急遽生じた連載作品の休載に伴う代原として、読み切り作品『ライフ・エラーズ』が掲載され、これが漫画家デビューとなった。
本来はデビュー当初からロボット漫画を描きたかった綱島氏だが、当時の担当編集からの「初連載でロボットものは難しい」というアドバイスを受け入れ、『ライフ・エラーズ』では約1年半にわたりキャラクターを主体としたストーリーを描いた。この経験を経て、満を持して連載が始まったのが、念願だったロボットをテーマにした『ジンキ-人機-』である。持ち込みから比較的早期にデビューを果たしたため、一般的な漫画家のように長期のアシスタント経験はなく、知人の手伝いで簡単なカットを描いた程度にとどまる。そのデビュー時点での力量については、漫画家の安彦良和氏が、持ち込み段階で既に一定の水準に達していた証拠だと評価している。
『ジンキ』シリーズは、綱島氏のキャリアにおいて波乱を呼んだことでも知られる。『ジンキ-人機-』の連載終了後、マッグガーデンに移籍し、『月刊コミックブレイド』にて『ジンキ・エクステンド』としてシリーズを継続したが、この雑誌の編集長は、かつてエニックスで最初に担当についた宮本幸則氏であった。しかし皮肉にも、その宮本氏による「この雑誌ではメカに人権がない」という趣旨の発言を機に、『ジンキ・エクステンド』は連載打ち切りという状況を迎えることになる。
連載打ち切り後、マッグガーデン側が単行本9巻以降の権利を主張しない方針を示したことで、綱島氏は『ジンキ・エクステンド』の他誌での連載再開を目指し、再び複数の出版社に企画を持ち込むことを検討した。この時、10社を超える出版社から連載再開に関するオファーが寄せられたという。最終的に、メディアワークス（後にアスキー・メディアワークスとなる）が連載の受け入れを決定し、『月刊コミック電撃大王』にて『JINKI-真説-』と改題し、2008年より連載が再開された。同じ作品が2度にわたって掲載誌を移籍するという、漫画業界では極めて稀な出来事を乗り越え、シリーズは新たな場所で続いていくこととなった。
漫画の執筆と並行して、綱島氏はゲーム分野でも活躍の場を広げている。キャリアにおける特筆すべき転機として、アダルトゲームメーカーの戯画から『ジンキ』シリーズがゲーム化されたことが挙げられる。2010年に発売された『JINKI EXTEND Re:VISION』では、原作者である綱島氏自身が成人向け作品の原画を担当した。全年齢向けの漫画作品の原作者が、アダルト作品の実績がないにも関わらず、自らの手で成人向けゲームの原画を手がけるというケースは、当時も異例中の異例とされた。その後も綱島氏は、戯画からリリースされた『ジンキ』関連タイトルや、同社オリジナル作品である『BALDR SKY"ZERO"』シリーズの原画・キャラクターデザインを手がけるなど、ゲームクリエイターとしても活動の幅を大きく広げている。
現在の綱島氏の画風は、現代的で、いわゆる「萌え系」の範疇に含まれる絵柄と評されることが多い。特に色彩の面では、アニメーションのような輪郭のはっきりした塗り方、いわゆる「アニメ塗り」が特徴的である。興味深いことに、初期の『ジンキ-人機-』の連載開始当初は、現在の絵柄とは異なる、より本来のタッチで描いていた時期があった。しかし、読者からの反応が芳しくなかったため、意図的に現在の「萌え系」寄りの絵柄へと大きく変更したという経緯がある。この絵柄変更は功を奏し、読者からのキャラクターに対する評価が高まったと語っている。漫画家の安彦良和氏も、短期間で絵柄を大きく変えられる綱島氏の器用さを認めている。着彩技法に関しては、かつてはマーカーを用いていたが、担当編集に勧められたマーカーをうまく使いこなせなかった経験から、現在はコンピュータグラフィックス（CG）によるデジタル彩色に移行しており、これは自身の技術的な未熟さを補うための手段だと謙虚に述懐している。
その他の情報として、綱島氏のローマ字表記にはヘボン式ではなく、訓令式の「Sirou Tunasima」が用いられている。また、過去には講談社『月刊マガジンZ』にて、『サクラ大戦』のコミカライズを作画担当として発表される予定があったが、これは最終的に実現には至らず、別の作家によって連載されたという経緯がある。
主な漫画作品には、『ライフ・エラーズ』、『ジンキ』、『ジンキ・エクステンド』、『JINKI-真説-』、『ジンキ・エクステンド 〜リレイション〜』といった『ジンキ』シリーズのほか、『人狼機ウィンヴルガ』とその続編『人狼機ウィンヴルガ 叛逆篇』、『オリハルコン・レイカル』シリーズ、『紫色のクオリア』（原作：うえお久光）、『DARKNESS HEELS -Lili-』などがある。これらの漫画単行本のほか、画集やガイドブックの発行、小説の挿絵、ゲームの原画・キャラクターデザインなど、その活動は多岐にわたる。
綱島志朗氏は、幼い頃から抱き続けたロボットへの情熱を胸に漫画家となり、自身の表現を追求してきた。掲載誌の移籍やアダルトゲーム原画への挑戦など、漫画家としては異色のキャリアを歩みつつも、常に柔軟な対応と高い技術力で新たな可能性を切り開き続けている作家である。
幼少期にロボットアニメに強く惹かれ、メカデザイナーになることを夢見ていたという。しかし、その職業への具体的な道筋が見えなかったことから、自身の描きたい世界を表現する方法として漫画家を目指すことを決意した。両親との約束のもと、期間限定で上京し、出版社への持ち込みを開始。複数の会社を巡る中で、エニックス（現在のスクウェア・エニックス）の『月刊ガンガンWING』に持ち込んだ際、急遽生じた連載作品の休載に伴う代原として、読み切り作品『ライフ・エラーズ』が掲載され、これが漫画家デビューとなった。
本来はデビュー当初からロボット漫画を描きたかった綱島氏だが、当時の担当編集からの「初連載でロボットものは難しい」というアドバイスを受け入れ、『ライフ・エラーズ』では約1年半にわたりキャラクターを主体としたストーリーを描いた。この経験を経て、満を持して連載が始まったのが、念願だったロボットをテーマにした『ジンキ-人機-』である。持ち込みから比較的早期にデビューを果たしたため、一般的な漫画家のように長期のアシスタント経験はなく、知人の手伝いで簡単なカットを描いた程度にとどまる。そのデビュー時点での力量については、漫画家の安彦良和氏が、持ち込み段階で既に一定の水準に達していた証拠だと評価している。
『ジンキ』シリーズは、綱島氏のキャリアにおいて波乱を呼んだことでも知られる。『ジンキ-人機-』の連載終了後、マッグガーデンに移籍し、『月刊コミックブレイド』にて『ジンキ・エクステンド』としてシリーズを継続したが、この雑誌の編集長は、かつてエニックスで最初に担当についた宮本幸則氏であった。しかし皮肉にも、その宮本氏による「この雑誌ではメカに人権がない」という趣旨の発言を機に、『ジンキ・エクステンド』は連載打ち切りという状況を迎えることになる。
連載打ち切り後、マッグガーデン側が単行本9巻以降の権利を主張しない方針を示したことで、綱島氏は『ジンキ・エクステンド』の他誌での連載再開を目指し、再び複数の出版社に企画を持ち込むことを検討した。この時、10社を超える出版社から連載再開に関するオファーが寄せられたという。最終的に、メディアワークス（後にアスキー・メディアワークスとなる）が連載の受け入れを決定し、『月刊コミック電撃大王』にて『JINKI-真説-』と改題し、2008年より連載が再開された。同じ作品が2度にわたって掲載誌を移籍するという、漫画業界では極めて稀な出来事を乗り越え、シリーズは新たな場所で続いていくこととなった。
漫画の執筆と並行して、綱島氏はゲーム分野でも活躍の場を広げている。キャリアにおける特筆すべき転機として、アダルトゲームメーカーの戯画から『ジンキ』シリーズがゲーム化されたことが挙げられる。2010年に発売された『JINKI EXTEND Re:VISION』では、原作者である綱島氏自身が成人向け作品の原画を担当した。全年齢向けの漫画作品の原作者が、アダルト作品の実績がないにも関わらず、自らの手で成人向けゲームの原画を手がけるというケースは、当時も異例中の異例とされた。その後も綱島氏は、戯画からリリースされた『ジンキ』関連タイトルや、同社オリジナル作品である『BALDR SKY"ZERO"』シリーズの原画・キャラクターデザインを手がけるなど、ゲームクリエイターとしても活動の幅を大きく広げている。
現在の綱島氏の画風は、現代的で、いわゆる「萌え系」の範疇に含まれる絵柄と評されることが多い。特に色彩の面では、アニメーションのような輪郭のはっきりした塗り方、いわゆる「アニメ塗り」が特徴的である。興味深いことに、初期の『ジンキ-人機-』の連載開始当初は、現在の絵柄とは異なる、より本来のタッチで描いていた時期があった。しかし、読者からの反応が芳しくなかったため、意図的に現在の「萌え系」寄りの絵柄へと大きく変更したという経緯がある。この絵柄変更は功を奏し、読者からのキャラクターに対する評価が高まったと語っている。漫画家の安彦良和氏も、短期間で絵柄を大きく変えられる綱島氏の器用さを認めている。着彩技法に関しては、かつてはマーカーを用いていたが、担当編集に勧められたマーカーをうまく使いこなせなかった経験から、現在はコンピュータグラフィックス（CG）によるデジタル彩色に移行しており、これは自身の技術的な未熟さを補うための手段だと謙虚に述懐している。
その他の情報として、綱島氏のローマ字表記にはヘボン式ではなく、訓令式の「Sirou Tunasima」が用いられている。また、過去には講談社『月刊マガジンZ』にて、『サクラ大戦』のコミカライズを作画担当として発表される予定があったが、これは最終的に実現には至らず、別の作家によって連載されたという経緯がある。
主な漫画作品には、『ライフ・エラーズ』、『ジンキ』、『ジンキ・エクステンド』、『JINKI-真説-』、『ジンキ・エクステンド 〜リレイション〜』といった『ジンキ』シリーズのほか、『人狼機ウィンヴルガ』とその続編『人狼機ウィンヴルガ 叛逆篇』、『オリハルコン・レイカル』シリーズ、『紫色のクオリア』（原作：うえお久光）、『DARKNESS HEELS -Lili-』などがある。これらの漫画単行本のほか、画集やガイドブックの発行、小説の挿絵、ゲームの原画・キャラクターデザインなど、その活動は多岐にわたる。
綱島志朗氏は、幼い頃から抱き続けたロボットへの情熱を胸に漫画家となり、自身の表現を追求してきた。掲載誌の移籍やアダルトゲーム原画への挑戦など、漫画家としては異色のキャリアを歩みつつも、常に柔軟な対応と高い技術力で新たな可能性を切り開き続けている作家である。
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