網戸

網戸

網戸（あみど）は、建物の窓や出入口に取り付けられる建具の一種です。主な役割は、室内に新鮮な空気を取り込むための換気や通風を確保しつつ、蚊やハエといった虫などが室内へ侵入するのを防ぐことです。細かな網（防虫網）を枠に張った構造をしており、一般的には窓やドアの外側に設置されます。

日本における普及の経緯

かつての日本の伝統的な木造家屋は、窓や建具に多くの隙間がありました。そのため、網戸を設置しても虫の侵入を完全に防ぐことは難しく、主に就寝時に蚊帳（かや）を用いて虫を避けるのが一般的な対策でした。網戸が日本の住宅に広く普及したのは、昭和後期の高度経済成長期以降のことです。この時期に、加工しやすく気密性も高いアルミニウム合金製のサッシが住宅に導入されるようになり、これと組み合わせて網戸が一般的に用いられるようになりました。アルミサッシの普及が、網戸の普及を大きく後押ししたと言えます。

材質と種類

網戸の網には、耐久性に優れたステンレス製のものも過去には使用されましたが、現在日本国内で最も一般的に用いられているのは、風雨や紫外線に対する耐候性が高いポリプロピレン製の網です。網を固定するための枠は、ほとんどの場合がアルミサッシと同じ素材でできています。

近年では、消費者ニーズの多様化に伴い、様々な機能を持つ網戸が登場しています。標準的な防虫効果に加え、さらに網の目を細かくすることで、より小さな虫の侵入も防ぐハイメッシュタイプは人気を集めています。また、ペットを飼っている家庭向けに、犬や猫が引っ掻いても破れにくい特殊な強化ネットを使用したものや、特定の虫を寄せ付けにくい成分を練り込んだ網などがあります。加えて、空気中の花粉やPM2.5といった微細な粒子が室内に入り込むのを抑制する、フィルター機能を備えた高性能な網戸も開発され、販売されています。

網戸のメンテナンス：張り替え

網戸の網や、網を枠に固定する際に使用される押さえゴムは、常に屋外の環境に晒されているため、時間と共に劣化が進みます。日光による紫外線や風雨の影響で網が傷んだり、ゴムが硬くなったりひび割れたりすると、網戸本来の機能が損なわれるだけでなく、見た目も悪くなります。そのため、美観と機能を維持するためには、およそ4年から5年を目安に網やゴムを張り替えることが推奨されます。

網戸の張り替え作業は、専門業者に依頼することもできますが、適切な道具と手順さえ知っていれば、DIYとして個人で行うことも十分可能です。必要な道具はホームセンターなどで手軽に揃えることができ、材料費を含めて1枚あたりの費用は1,000円強と、比較的安価に済ませることができます。

張り替えに必要なもの

新しい網（既存の網戸のサイズに合わせて購入します。青、灰、黒など色があり、建物の外観に合わせて選べます。）
網戸押さえゴム（既存のゴムの太さを確認し、同じ太さのものを選びます。一般的に3.5mmから1mm刻みで数種類あります。網戸の枠の溝の全周よりも少し長めのものを用意します。）
ゴム押さえローラー（網を溝に押し込む専用の道具です。）
網押さえクリップ（数個あると網の位置決めや仮固定に便利です。）
カッターナイフ（溝にはみ出した余分な網を切り取るのに使用します。）

張り替えの手順

1. 古い網の取り外し: 網戸の枠の溝に入っている古い押さえゴムの端を見つけ、引き出して全て外します。ゴムが外れると、古い網は簡単に枠から剥がせます。
2. 新しい網のセット: 枠の上に新しい網を広げます。網がたるまないようにピンと張りながら、数カ所を網押さえクリップで仮固定すると作業がスムーズになります。
3. ゴムの押し込み: 枠の溝の角から始め、新しい押さえゴムを溝に当てます。ゴム押さえローラーを使って、網の上からゴムを溝にしっかりと押し込んでいきます。一周全て確実にゴムを埋め込んでください。
4. 余分な網のカット: ゴムを全て埋め込んだ後、枠の溝からはみ出している余分な網を、カッターナイフを使ってゴムに沿って切り取ります。力を入れすぎるとゴムや枠を傷つける可能性があるので注意しましょう。

これらの手順で、網戸の張り替えは完了です。正しく張り替えられれば、網戸は見違えるほどきれいになり、本来の機能を取り戻します。

関連項目

蚊帳
サッシ
玄関網戸

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