聖公会神学院

日本聖公会聖公会神学院

聖公会神学院は、東京都世田谷区用賀に所在する、日本聖公会に属する神学校です。法制度上は各種学校に分類され、1911年（明治44年）に設立されました。日本聖公会には本神学院のほか、京都にもウイリアムス神学館があります。

歴史的背景：三つの源流から統合へ

聖公会神学院の設立は、明治時代に日本で宣教活動を開始した英国聖公会および米国聖公会がそれぞれ設立した神学教育機関の統合によるものです。その主な起源は、以下の三つの学校に遡ります。

1. 長崎神学校（聖アンデレ神学校）：1877年（明治10年）9月、英国聖公会宣教協会（CMS）により長崎に開校しました。日本で最初のプロテスタント神学校の一つとされています。後に大阪の神学校と合併し、1886年に閉じられました。
2. 東京三一神学校：同年10月、米国聖公会のチャニング・ウィリアムズ主教が東京で始めた私塾が発展し、翌1878年からは英国のイギリス海外福音伝道会（SPG）との共同運営となりました。立教大学校内に併置された後、築地に移転し独立した施設を整備しました。
3. 聖教社神学校：SPGにより1879年に東京・芝に開設された「聖教社」内の神学部が前身です。一時的な中断や名称変更を経て、1905年（明治38年）には専門学校令に基づく神学校となりました。

1887年（明治20年）に日本聖公会が設立されると、各宣教団体の学校統合が進められました。こうした流れの中で、1911年（明治44年）に東京三一神学校と聖教社神学校が合併し、聖公会神学院が誕生しました。1915年（大正4年）には大阪三一神学校も合流しました。

戦災からの復興と校舎の変遷

第二次世界大戦中は、戦局の悪化により教育継続が困難となり、校舎も空襲で焼失するという大きな被害を受けました。しかし、終戦後の1945年（昭和20年）には「聖公会神学塾」として授業を再開し、翌年には再び「聖公会神学院」として歩み出しました。

校舎は設立当初の池袋から、戦後の湯島を経て、1953年（昭和28年）に現在の世田谷区用賀の地に移転しました。池袋の校舎は戦災で失われましたが、立教大学との交流や美しい環境があったことが伝えられています。

教育と現在の環境

聖公会神学院は現在、全寮制を採用し、原則として3年間の教育課程で、日本聖公会の聖職者や教会奉仕者を育成しています。学生は共同生活の中で神学を学び、礼拝を共にし、将来の奉仕に備えます。入学は大学卒業以上で志願者または現職者を対象とし、教会からの推薦に基づき選考が行われます。神学に関心を持つ一般の方や教会関係者向けの研修・聴講制度も設けています。

現在のキャンパスには、礼拝堂、本館、学生寮、教員住宅などが整備されており、研究図書館は約3万冊の蔵書を有しています。学術的な連携としては、立教大学大学院キリスト教学研究科との間で単位互換制度が設けられています。

卒業生

これまでに約600名の卒業・修了生が、日本国内および海外の聖公会教会や関連施設で多岐にわたる働きを担っています。詩人・児童文学者の山村暮鳥や、立教大学総長を務めた塚田理氏、西原廉太氏をはじめ、多くの著名な人材を輩出しています。

聖公会神学院は、長い歴史と試練を経て、現在もなお日本聖公会における重要な教育機関としての役割を果たしています。

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