舎利弗

舎利弗について

舎利弗（しゃりほつ）は、仏教の開祖である釈迦の十大弟子の中でも特に重要な存在です。彼の名前は梵語の「Śāriputra」や「Śāradvatīputra」を由来としており、母「シャーリー」に由来する「シャーリ」と「息子」を意味する「プトラ」で構成されています。また、彼は漢訳で舎利子（しゃりし）や鶖鷺子（しゅうろし）とも呼ばれています。舎利弗は智慧第一と称されることで知られ、釈迦の信任を受け、教団の上首として大きな影響を持ちました。

生い立ち

舎利弗は北インドのマガダ国、王舎城の北部にあるナーラカ村出身で、司祭階級の家に生まれました。彼の幼名はウパティッサ（Upatissa）とされ、幼少から非常に聡明であり、バラモンの後継ぎとして期待されていました。彼はヴェーダ聖典の学習を続けましたが、徐々にバラモン教に対する疑念を抱くようになりました。そのため、彼は親友の目連と共に出家し、真理を求めて修行に励むことを決意します。

最初は、王舎城で自由思想家として名を馳せていた不可知論者のサンジャヤ・ベーラッティプッタに師事し、高弟としての地位を確立しました。しかし、釈迦の教えに遭遇したことで、その思想が彼の心に深く刻まれ、すぐに預流果の境地に達しました。この出会いがきっかけで、彼は目連と共に釈迦の教団へと身を投じ、サンジャヤ教団から多くの弟子たちを連れて移りました。この出来事は、釈迦教団の存在を広める一因となりました。

教団内での役割

釈迦に弟子入りした舎利弗は、教団内ですぐに重要な地位を得ました。彼は、時には釈迦に代わって教えを説く役割を担うほどの信任を受けていました。また、釈迦の実子である羅睺羅の師匠でもあり、教団の成長に寄与しました。特に、教団の上首の一人であったデーヴァダッタの分派を阻止するために積極的に活動し、説法を通じて下臈の比丘たちを戻す成果を上げました。

舎利弗は目連と共に、釈迦の最大の弟子として位置づけられ、教団の将来的な後継者として期待されていました。しかし、目連が外道によって亡くなった後、舎利弗もまた病気にかかり、最終的にナーラカ村に帰郷し、母に看取られて亡くなりました。釈迦の入滅後の後継者は摩訶迦葉が引き継ぎました。

家族について

舎利弗の家族については、さまざまな記録が存在します。いくつかの経典によると、彼には兄弟姉妹が七人おり、男子はウパティッサを含む数名であったとされています。また、大乗経典において舎利弗は声聞乗の代表として描かれ、仏・菩薩との対話を通じて重要な役割を果たしています。

彼に関する文献の中で、彼は未来世において「華光」という名の仏になることが予言されており、そのための修行を続ける重要な人物と位置づけられています。舎利弗はその教えを通じて多くの人々に影響を与え、仏教の発展に寄与した偉大な弟子です。

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