花巻空港駅

花巻空港駅（はなまきくうこうえき）

岩手県花巻市二枚橋に所在する花巻空港駅は、東日本旅客鉄道（JR東日本）および日本貨物鉄道（JR貨物）の東北本線が乗り入れる駅です。

駅の歴史

当駅の起源は、1922年（大正11年）7月15日に開設された二枚橋信号場にさかのぼります。その後、1932年（昭和7年）11月20日には、旅客や貨物の取り扱いを行う二枚橋駅として駅に昇格し、一般駅としての営業を開始しました。

時代の変化とともに、駅の機能や位置づけも変わっていきます。1985年（昭和60年）3月14日には荷物の取り扱いが廃止され、1987年（昭和62年）4月1日には国鉄の分割民営化に伴い、JR東日本とJR貨物の共同駅となりました。翌1988年（昭和63年）3月13日、駅名は現在の花巻空港駅に改称されています。

貨物輸送の面では、1997年（平成9年）3月22日を最後に定期的な貨物列車の発着がなくなり、その役割は大きく縮小されました。駅の運営体制も変化し、2004年（平成16年）4月1日からは駅業務が業務委託形式となりました。窓口サービスについては、2014年（平成26年）9月30日をもって「みどりの窓口」の営業が終了しています。近年では、2023年（令和5年）5月27日に交通系ICカード「Suica」の利用が可能となり、利便性が向上しました。さらに、2024年（令和6年）3月16日からは終日無人駅となり、同年10月1日には「えきねっとQチケ」のサービスが開始されるなど、運営形態の近代化が進んでいます。

駅構造

花巻空港駅は地上に設置された駅で、ホームは単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線を合わせた、計2面3線の構成となっています。それぞれのホームは跨線橋によって連絡されています。

現在は北上駅が管理する無人駅として運営されています。無人化される以前は、JR東日本東北総合サービスが業務を受託する業務委託駅であり、窓口や自動券売機が設置されていました。駅舎内部には、簡易型のSuica改札機が設置されており、ICカードでの乗降に対応しています。

ホームの利用状況については、資料によると2番線は2019年時点で1日のうちごく限られた列車のみが使用するなど、ホームによっては利用頻度が低いようです。

貨物取扱について

JR貨物の駅としては現在も籍がありますが、1997年に貨物列車の発着がなくなった後は、車扱貨物の臨時取扱駅としての位置づけとなっています。しかし、現在では貨物用の設備は一切設置されておらず、駅に直接接続する専用線も存在しません。

かつては、駅周辺に立地する工場への専用線が存在し、貨物輸送が活発に行われていました。特に、日本重化学工業盛岡事業所へ続く専用線があり、工場で使用される濃硝酸の輸送に使われていましたが、これは1997年3月に廃止されました。また、国鉄の民営化からしばらくの間、北日本くみあい飼料花巻工場へ繋がる専用線も存在しており、石巻埠頭駅から飼料が輸送されていました。1985年時点では、特定貨物（トウモロコシ、コウリャン）専用の常備貨車であるホキ8300形17両が、全国農業協同組合連合会の所有として当駅に配置されていた記録があります。

利用状況

JR東日本が公表するデータによれば、2000年度から2022年度にかけての1日平均乗車人員の推移が示されています。（具体的な数値の詳細は省略します）

花巻空港へのアクセス

駅名に「花巻空港」が含まれていますが、駅の構造自体が空港ターミナルビルに隣接しているわけではありません。かつて二枚橋駅だった当駅が花巻空港駅へと改称されたのは、当時最も空港に近い鉄道駅であったためです。駅は空港敷地には面していますが、ターミナルビルまでの距離は約3.8キロメートルあり、徒歩での移動は現実的ではありません（2009年4月のターミナルビル移転前でも約2キロメートルの距離がありました）。

以前は岩手県交通が当駅と花巻駅、北上駅を結ぶ路線バスを運行し、旧ターミナルビルにも乗り入れていましたが、本数が少なく、列車や航空機のダイヤとの接続も考慮されていない状況でした。ターミナル移転後もこのバス路線は経路変更されませんでしたが、新たに花巻駅～空港間のバス（当駅非経由）や、盛岡市内から空港へ直行する高速バス（航空ダイヤ連携便）が運行されたため、当駅は空港アクセス駅としての役割をほとんど果たせない状態が続いていました。

しかし、2013年（平成25年）9月30日をもって花巻駅～空港間のバス路線が廃止されたことに伴い、翌10月1日から盛岡市内と空港を結ぶ高速バスが当駅を経由するようになりました。これにより、特に花巻方面から公共交通機関を利用して空港へ向かう際の重要な乗換地点として、空港アクセスにおける当駅の役割が見直されています。

ちなみに、空港ターミナルビル自体は、当駅よりも釜石線の似内駅の方が地理的には近い（約2.8キロメートル）のですが、釜石線は列車本数が少ない上、似内駅は快速列車が通過するため普通列車しか停車しません。さらに、似内駅付近と空港を結ぶバス路線も設定されていないことから、総合的なアクセス利便性では花巻空港駅が優位となっています。

駅周辺のバス路線

駅前には岩手県交通の「花巻空港駅」バス停留所が設けられており、ここから花巻空港行きのバスや、北上駅前、花巻駅前、教育センター方面への路線が利用できます。また、当駅から東へ少し歩いた国道4号沿いには「二枚橋」停留所があり、こちらも岩手県交通の石鳥谷線などが停車し、北上駅前や志和口方面へのアクセスに利用可能です。

隣接駅

JR東日本 東北本線
□快速「はまゆり」（一部の列車のみ停車）、■普通
花巻駅 - 花巻空港駅 - 石鳥谷駅

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