荒川健

荒川 健：日本の自動車デザインを牽引した巨匠

荒川健氏は、1949年生まれの日本のカーデザイナーです。三菱自動車、マツダでの輝かしいキャリアを経て独立し、デザインフォースアソシエイションを主宰。現在も第一線で活躍を続ける、日本の自動車デザイン界を代表する人物の一人と言えるでしょう。

三菱自動車での研鑽

多摩美術大学卒業後、1975年に三菱自動車に入社。当初はカラーリングスタジオに所属し、ミラージュのロゴマークやデカールデザインなどを担当。若いながらもその才能を開花させ、高い評価を獲得しました。その後、エクステリアデザインスタジオやアドバンスド・デザインスタジオへとステップアップし、幅広い経験を積みます。

1980年代に入ると、トラック・バス部門へと異動。ここで荒川氏は、画期的なインパネデザインを持つ大型トラックを世に送り出しました。このデザインは内外から高い評価を受け、彼の名を広く知らしめることとなります。特に、1983年から1985年にかけて発売されたふそう・ザ・グレートのインパネデザインは、その象徴的な事例と言えるでしょう。初代ミラージュセダンのエクステリアデザインや、2代目ミラージュのキースケッチも手掛けています。

マツダ時代と独立

1988年、マツダからヘッドハンティングされる形で同社へ移籍。チーフデザイナー（デザイン主査）として、ユーノスの新規車種開発に携わります。特に、1991年に発表されたユーノス・プレッソと、1992年に発表されたユーノス500は、彼のデザインにおける才能を遺憾なく発揮した代表作です。

ユーノス・プレッソは、往年のイタリアンGTを思わせる官能的なスタイリングと、DOHC 1.8リッターV6エンジンを搭載した2ドアハッチバッククーペ。一見すると2+2のように見えますが、4人乗車も可能な居住性を備え、大きなリアゲートはチェロの積載も可能にするなど、実用性も兼ね備えています。さらに、そのフロントデザインのアイデアは、後のフォード・トーラスにも受け継がれるなど、大きな影響を与えました。

ユーノス500は、非常に先進的で美しいスタイリングで国内外のデザイナーから絶賛され、国内随一のカーデザイナーとしての地位を確立。そのデザインは、日本の自動車デザインのみならず、世界中のカーデザインにも大きな影響を与えました。

1995年には独立し、デザインフォースアソシエイションを設立。その後も、大手自動車メーカーのモーターショー出品用コンセプトカーや、韓国、中国の量産車、さらには家電製品のデザインまで、その活動範囲は多岐に渡ります。

多様な活動

独立後は、デザインフォースStudio b-stile代表として、多様な分野で活躍。自動車デザインアナリストとして自動車雑誌への寄稿やデザイン論の執筆も行い、その知識と経験を広く社会に還元しています。さらに、JAC江准汽車日本設計センターデザインディレクターや、早稲田大学理工学術院非常勤講師、産業技術大学院大学客員教授なども務め、教育活動にも積極的に取り組んでいます。

久米宏の番組「CAR TOUCH!!」(GyaO)への出演経験もあり、メディアへの露出も積極的に行っています。

荒川健氏のデザインは、常に時代の先端を行き、見る者の心を掴む魅力に溢れています。彼のキャリアは、日本の自動車デザイン史において、重要な一ページを刻んでいると言えるでしょう。これからも、彼の活躍から目が離せません。

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