菖蒲池駅

菖蒲池駅：近鉄沿線開発と遊園地の歴史を刻む駅

菖蒲池駅は、奈良県奈良市あやめ池南二丁目に位置する近畿日本鉄道（近鉄）奈良線の駅です。駅番号はA21。近鉄の前身である大阪電気軌道時代からのあやめ池開発に深く関わっており、その歴史は、近鉄の沿線開発の歴史そのものと言えるでしょう。

あやめ池遊園地とOSK日本歌劇団の黄金時代

駅の開設は1923年（大正12年）9月9日にさかのぼります。当初は臨時駅として開業しましたが、その後常設駅となりました。大阪電気軌道時代から始まった近鉄によるあやめ池の開発は、乗客誘致のため、大阪から芸者を招き、茶屋などを設立するなど、積極的なものでした。

1926年（大正15年）6月11日にはあやめ池遊園地が開園。その後、1950年（昭和25年）からは大阪松竹歌劇団（後のOSK日本歌劇団）が公演を始め、1967年（昭和40年）には劇場を併設、あやめ池遊園地を本拠地としました。 この時代、あやめ池遊園地は宝塚に匹敵する規模の行楽地として関西一円から多くの観光客を集め、賑わいを見せていました。

遊園地閉園と近年の変化

しかし、昭和後期以降、設備投資の停滞や劇団経営の悪化、近鉄の業績悪化などが重なり、2003年（平成15年）にOSK日本歌劇団は解散。そして、2004年（平成16年）6月、78年の歴史を誇ったあやめ池遊園地は閉園しました。同年、近鉄劇場も閉鎖されています。

遊園地跡地には、2010年（平成22年）4月に近畿大学附属幼稚園・小学校が移転、開校しました。平日のみ、近畿大学附属小学校・幼稚園の開校日に合わせ、奈良行き快速急行が臨時停車する措置が取られています。

駅構造と周辺環境

菖蒲池駅は、相対式2面2線の地上駅です。改札は上下線で分離され、連絡通路はありません。駅舎は傾斜地にあるため、ホームへのアクセスには段差があり、車椅子利用者向けの設備が整備されています。大和西大寺駅管理の有人駅で、PiTaPa、ICOCAに対応した自動改札機や自動精算機が設置されています。

駅周辺は、南側の道路が狭く、北側は近鉄の私道となっています。かつては、秋になるとマツタケ狩りが行われていたそうです。現在では、近畿大学附属小学校・幼稚園、奈良市立あやめ池小学校、東洋民俗博物館、中野美術館、大和文華館などの施設があります。また、商業施設なども複数存在します。

交通アクセス

駅南口には「あやめ池駅」バス停があり、奈良交通のバスが運行されています。

隣の駅

学園前駅と大和西大寺駅に挟まれた位置にあります。快速急行や急行は通過しますが、近畿大学附属小学校・幼稚園開校日（平日）には奈良行き快速急行が臨時停車します。

まとめ

菖蒲池駅は、近鉄の沿線開発の歴史と、かつてのあやめ池遊園地の賑わいを物語る駅です。遊園地の閉園後も、周辺地域の新たな発展とともに、地域の拠点として重要な役割を担い続けています。駅名表記の変更や、遊園地跡地の活用など、時代とともに変化を遂げてきた歴史も興味深い点です。

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