落雁

落雁（らくがん）

落雁は、米や豆、蕎麦、栗などの澱粉質の粉に水飴や砂糖を加えて混ぜ、型に押し込んで乾燥させた和菓子です。一般的には、「打ちもの」と呼ばれる干菓子の一種として有名です。この美しい和菓子は、日本の茶席や仏事の際に供される高級な存在となっています。

歴史

落雁の起源は西アジア・中央アジアにあり、中国を経由して室町時代に「日明貿易」を通じて日本にやってきました。特に、落雁は中国での「軟落甘」に由来すると言われ、これが室町時代に日本に伝わり、茶道が浸透する中で広がりました。そして、江戸時代には長崎から伝来した「口砂香」と呼ばれるタイプの落雁も存在しました。

名称の由来にはいくつかの説があり、明の「軟落甘」から「軟」が失われたという説や、形が雁に似ているため「堅田落雁」という名前が付けられたという説があります。特に、落雁という言葉自体は「空から舞い降りる雁」という意味であり、秋の季語としても使われています。最古の落雁は、1818年に西町の川口家が持ち帰ったもので、三原市歴史民俗資料館に展示されています。

製法

製法には主に二つの方法があります。ひとつは、既に蒸して乾燥させた米の粉を用い、水飴や砂糖を加えて練り、型に入れてホイロで乾燥させる方法です。もうひとつは、加熱していない米の粉を使い、同様に水飴を加えた後、蒸してから乾燥させる製法です。通常、前者は落雁と呼ばれ、後者は「白雪糕」や「白雪羹」などと呼ばれます。特に、新潟県の長岡市で作られる「越乃雪」が有名です。

この製法は明時代の中国の「軟落甘」に基づいており、香港や中央アジアにそのルーツがあるともされます。茶道の発展と共に、落雁は広まったのです。江戸時代には金沢市で落雁の製造が奨励され、「長生殿」がその成果の一つです。さらに、松江藩でも和菓子が奨励され、松平治郷によって「山川」という落雁が誕生しました。

落雁の特徴

落雁は通常、茶席菓子として薄茶と共に供されます。ただし、供物としても多く使われ、高級な和菓子として位置づけられています。特に、高貴な場に出される際には、和三盆や未精製の黒砂糖が用いられることが多く、見た目も美しいです。

変種

落雁には多くの変種が存在します。秋田県の伝統的な「諸越」や、宮城県の「しおがま」、長野県の「栗落雁」などがあります。それぞれ地域特有の材料と製法が反映されています。また、熊本県には餡の入った「銅銭糖」があり、沖縄県ではもち粉を用いた「コーグヮーシ」が見られます。

中国の関連品

中国国内でも落雁や類似の和菓子が存在します。具体的には、「雲片糕」や「桃片糕」があり、これらは米粉を使った菓子で、時にはクルミなどが入ることもあります。また、「杏仁餅」や「緑豆糕」といった他の和菓子類も人気があります。

まとめ

落雁はその美しさと洗練された味わいから、長い歴史を持つ日本の伝統的な和菓子です。茶道との深い結びつきや地域ごとの多様なバリエーションが、この菓子が日本の文化において重要な役割を果たしていることを物語っています。

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