董平

董 平（とう へい）

董平（とう へい、Dong Ping）は、中国の古典小説『水滸伝』に登場する人物で、四大奇書の一つに数えられています。彼は天立星の生まれ変わりとされ、梁山泊の好漢の中で第十五位に位置付けられています。董平の渾名である「双槍将」は、両手に持つ槍に由来しており、武勇だけでなく礼儀や学問にも精通していた彼を表しています。特に「董一撞」という呼び名は、一撃の董という意味を持ち、彼の戦闘スタイルを象徴しています。

物語中の活躍

董平は元々東平府の兵馬都監を務めていましたが、太守・程万里の娘に恋心を抱くことから複数回の縁談を試みますが、うまくいかずにいました。物語の進行に伴い、梁山泊軍が東平府と東昌府を攻めた際に董平は登場します。梁山泊が攻めてくると、宋江からの挑戦状を受け取りますが、その挑戦を無視して使者を棒打ちにした後、得意の双槍を使って韓滔と徐寧を相手に戦います。しかし、彼は深追いの末に捕虜となり、結果的に宋江の説得で梁山泊に加わることになります。

董平はその後、東平府を攻撃する計画に加わり、程万里を討ち取った後、待望の娘を手に入れることに成功します。続く東昌府戦では、張清との戦闘で勝敗が決しない結果に終わることしかしっかりと戦います。さらに、百八星が集結した後は五虎将の一人として数々の戦闘に挑み、その中でも特に童貫との戦いでは、九宮八卦陣の東南を担当し、敵将の一人である韓天麟を討ち取る活躍を見せます。

ただ、彼は高俅との戦闘では腕を負傷し戦列を離れざるを得なくなります。朝廷に帰順した後は遼国戦に参加し、盧俊義の部隊に所属して檀州攻めで敵将・耶律国珍を討ち取ります。また、薊州や玉田県、幽州の戦闘にも参加し、様々な戦術を駆使して戦い抜きます。

方臘との討伐戦では、盧俊義隊に属し、独松関の攻撃で仲間が次々と討たれていく苦しい戦局の中、自らが先頭に立ち敵を挑発します。しかしその際、火砲を受けて腕を負傷し、戦闘の中で苦境に立たされます。最終的には、張清と共に一騎討ちを申し出たものの、相手の鋭い攻撃に遭い、悲劇的な最期を迎えることになります。

補足

董平は『水滸伝』のストーリーの成立以前から既に梁山泊盗賊集団の伝説の中で存在が確認されています。宋末元初の文献である「宋江三十六人賛」では第28位に名前が見られるなど、彼の知名度は高いことが伺えます。また、『水滸伝』の原型とも言える『大宋宣和遺事』にも登場し、その役どころは物語の中での役割とは異なる形で描かれていますが、彼が物語の重要なキャラクターであることには変わりありません。彼の物語は、武勇の象徴であり、忠義を重んじる者として永遠に語り継がれていくことでしょう。

もう一度検索