装甲艇

装甲艇の概要

装甲艇（そうこうてい）は、大日本帝国陸軍により開発された戦闘用舟艇で、主に日中戦争や太平洋戦争の際に利用されました。これらの艇は、上陸戦に特化した舟艇として、艦艇や陸上部隊を支援する役割を果たしました。試作艦である「さきがけ」が1928年に完成し、その後も改良を重ねられた結果、数多くの量産型が登場しました。

開発の背景

日本陸軍は古くから上陸戦に注力しており、それに伴う舟艇の護衛や支援を目的とした専用の艇が求められていました。これに応える形で、1928年には試作艇の完成が見られ、その名称は「さきがけ」とされました。その後、「勝鬨」などの改良艇が続々と投入され、上陸戦における主力舟艇となっていきました。

特徴と武装

装甲艇の大きな特徴は、その船体と上部構造が装甲で覆われている点です。基本的な武装構成は、砲塔式の戦車砲1門と機関銃2丁で、初期の1号艇では37mmの狙撃砲が搭載され、2号艇以降は日本陸軍の主戦車である九〇式57mm戦車砲が用いられました。1938年以降では、57mm戦車砲が2門搭載されるようになり、火力の強化が図られました。

戦場での活躍

日中戦争では、装甲艇は沿岸や河川での作戦において重要な役割を果たしました。また太平洋戦争においても、上陸戦や海上輸送時の護衛に使用され、大発動艇（大発）などの支援として活躍しました。

改良の継続

装甲艇は戦局に応じて様々な改良が施されました。大戦中には、「せは艇」「せに艇」「小護衛艇」といった近海作戦に対応した新たな艇が試作され、小護衛艇は生産型が完成し、大戦末期には日本近海の護衛任務に投入されました。これらの改良型も一部は「装甲艇」または「AB艇」として呼ばれました。

障害と限界

しかし、装甲艇はその速度の遅さから、南方諸島におけるアメリカ海軍のPTボートとの戦闘では十分な効果を発揮できず、結局は高速舟艇に対応するための新たな駆逐艇が開発されることになりました。

戦後の状況

戦後、小護衛艇の一部は海上保安庁の巡視艇として登録され、以降もその歴史を刻んでいます。また、装甲艇の存在は、軍事的な役割を果たした重要な艦船として記憶されています。

登場作品

装甲艇は、ゲーム『艦隊これくしょん -艦これ-』にも登場しており、艦娘に装備させることで、地上型や魚雷艇型の敵に対する攻撃力や命中率を向上させる要素があります。

参考資料

装甲艇の詳細な記録は、藤田昌雄の著書『陸軍船舶隊の知られざる記録』や、その他の軍事関連文献に残されています。

装甲艇はその特異な役割と共に、戦争の歴史の中で重要な存在感を示した艦艇であり、多くの戦闘とともにその名を刻むこととなりました。

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