西サハラ

西サハラの概要

西サハラはアフリカ大陸の北西部、大西洋の沿岸に位置し、モロッコ、アルジェリア、モーリタニアと国境を接しています。この地域は面積約26万6000平方キロメートル、人口は約57万人（2015年推定）です。1976年まではスペインの植民地であり、リオ・デ・オロとサギア・エル・ハムラの2つの地区から成っていました。

領有権と政治状況

帰属を巡る争いが常態化しており、サハラ・アラブ民主共和国（SADR）は亡命政権として独立を主張し、モロッコはこの地域の領有を強く主張しています。国際連合では西サハラを「非自治地域」として1960年代から認識しており、多くの国がモロッコの領有権を認めていません。

モロッコは広大な範囲を実効支配しており、これに対しSADRは砂の壁の東側を支配しています。このため、SADRはアフリカや中南米の国々からいくつかの国家承認を受けていますが、欧米諸国や日本を含む多くの先進国は、モロッコとの関係を重視しSADRを国家として承認していません。

歴史的背景

1860年代のアフリカ分割では、西サハラはスペインによって保護領として併合され、1975年のマドリード協定を経てスペインが撤退しました。この際、モーリタニアとモロッコがこの地域を分割統治することとなり、同時にポリサリオ戦線が独立を目指して武装闘争を開始しました。ポリサリオはアルジェリアの支援を受けながら戦闘を行い、1979年にはモーリタニアが西サハラの領有権を放棄するに至りました。

国際的な取り組みと紛争の現状

1988年、国連による和平提案後、1991年にポリサリオとモロッコの間で停戦が成立しました。しかし住民投票は実施されず、その理由の一つに遊牧民が多いこの地域の有権者認定の難しさがあります。モロッコは国境地帯に「砂の壁」を築くなど、実効支配の状況を強化しています。

最近では、2020年にモロッコがイスラエルと国交正常化を結ぶ中で、アメリカがモロッコの主権を承認しました。このように、国際社会における西サハラの問題は常に変化しており、注目されています。

地理と住民

地理的には、南に広がるサハラ砂漠が特徴で、農業や遊牧が行われているほか、リン鉱床の発見により採掘業が主力産業となっています。サハラウィー人を中心とする住民が多く、ハッサニア語が広く使われています。宗教はほとんどがイスラム教です。

西サハラは政治的、社会的な緊張を抱えながらも、独自の文化や経済活動を維持し続けています。国際的な支援を受けながらも独立を目指すサハラ・アラブ民主共和国の動きは、今後の展開に大きな影響を与えるでしょう。

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