西人

西人（せいじん）についての考察

西人は、朝鮮王朝時代に存在していた官僚の派閥の一つで、その名は彼らの領袖が漢陽（現在のソウル）西側に居住していたことに由来しています。西人の起源は、李氏朝鮮での士林派と呼ばれる新興官僚集団に遡ります。この士林派は、旧来の大地主で構成された勲旧派に対抗した中小地主層から成り立っていました。

士林派政権の樹立と党争の勃発

士林派が1567年に宣祖の即位を機に政権を樹立した際、内部分裂が起こり、すぐに権力を巡る党争が展開されました。特に、1875年には沈義謙と金孝元との間での激しい争いが始まり、その結果、沈義謙派が西人として知られることになりました。この争いは朱子学の異なる解釈にも発展し、沈義謙派は李珥の学説を支持する主気派に多くの支持者を持っていました。それに対して金孝元派は東人と呼ばれました。

政治の動きと重要事件

1584年、李珥の死後、中央政界はさらなる党争に突入しました。沈義謙はその後失脚し、西人は一時的に権力を失いましたが、その後、鄭汝立の謀叛事件を通じて再び政権を握ることとなりました。1591年には世子冊封を巡る問題が持ち上がり、西人の指導者である鄭澈が失脚すると、再度政権は東人に移行しました。

この時期、文禄の役の直前には、黄允吉が正使として日本への外交に関わり、日本の侵略の可能性を強く警告しました。しかしその警告は東人の領袖が握りつぶし、防衛策を講じることは許されませんでした。

宮廷クーデターと西人の復権

1623年に起きた宮廷クーデターにより西人は権力を取り戻しましたが、顕宗政権の時代には服喪期間に関する問題が浮上し、1659年には南人を政権から排除し続けました。しかし、政権規模が巨大化する中、南人の反発に直面しました。1674年、仁宣王后の服喪期間における論争では西人が敗北し、数多くの党員が追放されました。これにより西人の勢力は大打撃を受けました。

しかし、粛宗は1680年に南人を大量に追放し、西人に軍権を再び委譲しました。これによって西人は政界で復権することになりますが、少論と老論という二つの派閥に再び分裂しました。

最後の衰退とその後

1689年には、南人出身の張氏とその王子を王妃及び王世子にするかで新たな対立が生じ、その結果として西人は再び一掃されました。1694年には南人勢力の追放を目指した少論・老論のクーデターは失敗に終わり、逆に南人勢力が追放されました。これ以後は少論・老論の争いが激化し、1701年頃には西人自身も分裂を経験しました。

このように、西人は朝鮮王朝の中で複雑な歴史を持っており、政権の争奪や党派間の対立などが彼らの運命を大きく変える要因となりました。

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