証文

証文とは

証文（しょうもん）は中世日本における重要な文書の一種であり、主に特定の事実を証明するために作成され、また訴訟において証拠となる役割を果たしていました。証文には二つの主な意味があります。一つは、事実を証明する文書、もう一つは訴訟において用いられる証拠文書としての側面です。これには公文書や私的な書状も含まれる場合があります。

事実証明のための証文

証文は「ショウコノカキモノ」と解釈され、日本の古文書学では私文書の一環として位置づけられ、特に手紙や私信を除いた文書を指します。もともと律令法においては権利移転や契約締結の際に、所管の官司に届け出る必要がありましたが、平安時代中期以降、この手続きは廃止されました。以降は、当事者間で事実確認を行うための書面として証文が用いられるようになったのです。この背景から、時代が進むにつれて多様な種類や書式の証文が登場しました。

証文の種類

証文には以下のような多くの種類があります：

• - 譲状・処分状：土地や財物を他者に譲渡する際に作成。
• - 沽券・売券：売主から買主に渡すための売買のための文書。
• - 借用状・借券・借書：借主が貸主に渡す貸借の証明。
• - 質券：質権を設定するための文書。
• - 為替・割符：金銭を遠隔地に送るための証明。
• - 和与状：訴訟における和解を記録。
• - 請取状・返抄：受取人が受取を証明するための書類。
• - 契状・契約状：一般的な契約書。

証文は契約の当事者双方の合意に基づいて作成され、受取人の意向を確認しながら進められました。これらはすべて私人間の契約であり、公的な保証はありませんが、特定の譲状や処分状は鎌倉幕府に提出することで公的にも有効化されました。契約内容には金銭や物品について具体的な条件が記され、問題が生じた場合に備えて担保文言や徳政文言が含まれていました。

訴訟における証文の重要性

律令法が導入されたと同時に、日本の訴訟では「文書第一主義」が採用されました。証文の価値により訴訟の結果が左右されることが多く、特に鎌倉幕府の『御成敗式目』においては、証文の優劣が明確な場合は直接結審されることが示されています。初代鎌倉殿の源頼朝の下文は最高の証文とされ、反対に証人の証言は証文が不明瞭な場合に限られました。このように、訴訟の場では文書の存在が重視され、その内容が法的解釈に大きな影響を与えました。

証文は、当時の社会において契約の履行や権利の確認を行うために不可欠な文書であり、私たちが現在に至るまでの法的な基盤を築いた重要な要素でした。

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