谷町

大阪市中央区谷町：歴史と文化が織りなす街

谷町は、大阪府大阪市中央区に位置する町名で、谷町一丁目から谷町九丁目までが行政地として存在します。その名の通り、西側に傾斜する上町台地の谷地形に由来しており、大阪市中心部の南北幹線道路である谷町筋沿いに南北約2.5キロメートルに渡って細長く伸びています。特に6丁目と7丁目は、周辺町の編入により西側に大きく広がっています。

地理と近隣環境

谷町は、1丁目から3丁目にかけては、大手前周辺の官公庁街に隣接し、多くの司法書士事務所などが集まっています。2丁目には大阪法務局と大阪府議会会館が位置しています。5丁目と6丁目の間には安堂寺町という東西に伸びる町があり、この町によって谷町は南北に二分されています。かつては、南北で所属する行政区が異なり、現在でも郵便番号が異なる地域となっています。8丁目と9丁目北部は谷町筋八丁目寺町と呼ばれ、多くの寺院が立ち並び、西隣の中寺にかけて寺社が集中しています。Osaka Metro谷町線は、4丁目、6丁目、9丁目に駅を構え、地域住民の足として重要な役割を果たしています。

歴史的変遷

近世においては、谷町は天満橋南詰から高麗橋通（谷町1丁目交差点）までを1丁目、思案橋通（谷町2丁目交差点）までを2丁目、内本町通（谷町3丁目交差点）までを3丁目としていました。3丁目より東側は、大坂城大手前の武家屋敷地でした。しかし、3丁目以南にも谷町を冠した町名や字名が存在し、農人橋通（谷町4丁目交差点）までは錫屋町、久宝寺橋通（谷町5丁目交差点）までは北谷町、安堂寺橋通までは南谷町と呼ばれていました。南谷町以南にも、谷町筋沿いは玉木町、万年町、立半町、柏原町と続き、その西側には生駒町、宮崎町、田島町と続いていました。この地域は、大坂城南惣構堀の遺構である空堀跡の一部であり、東西に瓦土取場が広がっていた歴史があります。柏原町の南には谷町筋八丁目寺町（16ヶ寺）がありました。

明治時代以降、幾度もの町名変更や区の再編が行われました。例えば、1872年（明治5年）には、それまでの町を統合し、谷町1丁目から5丁目が成立しました。また、1873年（明治6年）には、谷町筋八丁目寺町が西成郡西高津村に編入されています。その後、1900年（明治33年）に谷町8丁目と9丁目が成立するなど、現在に至るまで幾多の変遷を経て現在の谷町が形成されてきました。

寺町と寺院

現在でも、谷町筋八丁目寺町と呼ばれる地域には多くの寺院が残っており、そのうち13ヶ寺が谷町に含まれています。かつてこの地域には16ヶ寺の寺院がありましたが、一部は移転しています。これらの寺院は、地域の信仰の中心として、また歴史的建造物として貴重な存在です。

交通と施設

谷町には、Osaka Metro谷町線が走り、天満橋駅、谷町四丁目駅、谷町六丁目駅、谷町九丁目駅が利用できます。また、阪神高速13号東大阪線や国道308号、大阪府道30号大阪和泉泉南線（谷町筋）などの道路網も整備されています。

公共施設としては、大阪市立南高等学校、大阪府社会福祉会館、大阪第2法務合同庁舎、直木三十五記念館などがあり、商業施設としては空堀商店街などが知られています。また、桃園公園などの公園や、久成寺、江国寺、夕願寺などの寺院、番神堂などが地域に点在しています。

谷町は、歴史的背景、地理的特徴、そして現代的な都市機能が複雑に絡み合った、魅力的な地域と言えるでしょう。今後も、この地域の文化と歴史を継承し、発展していくことが期待されます。

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