西高津村

西高津村（にしこうづむら）

西高津村は、かつて大阪府東成郡（当初は西成郡）に存在した村で、現在の大阪市中央区の高津、中寺、谷町、そして天王寺区の下寺町といった地域にあたります。

地理

西高津村は、上町台地のほぼ中央に位置していました。この地理的な特徴が、村の歴史や産業に深く関わってきました。

歴史

江戸時代、西高津村は摂津国西成郡に属し、元和元年（1615年）には大坂藩松平氏の領地となりました。その後、元和5年（1619年）に幕府領となり、生玉社の領地も存在しました。村は大坂三郷に隣接し、古くから高津瓦や高原焼の産地として知られていました。しかし、元和2年（1616年）から延享2年（1745年）にかけて、立慶町、高津五衛門町、西高津町、元伏見坂町、西高津新地などが大坂三郷に編入され、村域は次第に縮小していきました。

明治時代に入ると、西高津村は1869年（明治2年）に大阪府に所属し、1871年（明治4年）には生玉社の社地が大阪南大組の付属地となりました。1873年（明治6年）には、塩町口野畑、高津宮鳥居内の地所、西寺町孔雀茶屋地所、糸引庵地所、関屋口、坂町裏天神社内外の地が大阪南大組各町に編入されました。一方で、寺町のうち生玉筋中寺町・谷町八丁目筋寺町の全域、生玉寺町・下寺町の一部と、生玉社地が西高津村に編入されるという変化もありました。

1888年（明治21年）には大阪市接続町村に指定され、1889年（明治22年）4月1日の町村制施行により、東成郡西高津村の大部分が単独で村制を施行し、西高津村が正式に発足しました。ただし、字髭剃は南区難波村に編入され、大字は編成されませんでした。

1897年（明治30年）4月1日、西高津村は大阪市に編入され、東区西高津となりました。その後、1900年（明治33年）には谷町8 - 9丁目、西高津中寺町、生玉町、下寺町1丁目といった町名に再編されました。

産業

西高津村には若干の畑地が存在しましたが、村制施行後には建屋が多くなり、木工竹細工、鼈甲細工、焼物などの生産が盛んになりました。特に生玉門前町では、大工や左官などの職人が多い町を形成しました。

名所・旧跡

生玉社（生國魂神社）: 地域住民の信仰を集める神社。
高津神社（高津宮）: 古くから地域を見守る神社。

参考文献

『角川日本地名大辞典 27 大阪府』角川書店、1983年。ISBN 978-4-04-001270-4
『市町村名変遷辞典』東京堂出版、1990年。

関連項目

* 大阪府の廃止市町村一覧

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