豊平峡ダム

豊平峡ダム

概要

豊平峡ダム（ほうへいきょうダム）は、札幌市南区定山渓に位置し、一級河川・石狩川水系の豊平川上流部に築かれたダムです。このダムは国土交通省北海道開発局札幌開発建設部が管理する特定多目的ダムで、主に洪水の調整や札幌市の水供給として機能しています。ダムは102.5mのアーチ式コンクリートダムで、北海道内では奥新冠ダムと豊平峡ダムの2か所にしか存在しないアーチダムです。また、ダム湖は「定山湖（じょうざんこ）」と呼ばれています。

地理

豊平川は石狩川水系の主要な河川のひとつで、フレ岳を水源として北へ流れます。ダム地点を経て、薄別川と合流し、定山渓温泉街を流れ込むものの、最終的には札幌市中心部へと流れます。また、かつては旧豊平川として江別市内に流れていましたが、流路が改修され、現在の姿になりました。ダムの名称である「ほうへい」は、川名の「とよひら」とは異なる読み方です。

歴史

豊平川はかつて頻繁に氾濫を引き起こし、市民に甚大な被害を与えていました。このため、沖野忠雄が提唱した石狩川改修事業の一環として、流路の直線化工事が進められました。しかし、その後の人口増加に伴い、水需要や電力需要が高まり、洪水の危険も増加しました。こうした背景の中、豊平川にダムを建設し、札幌市とその下流域を洪水から守ることを目的とした「豊平川総合開発事業」が策定されました。

1965年に工事が始まり、1972年に完成した豊平峡ダムは、洪水調整だけでなく、札幌市に対し1日あたり最大52万立方メートルの上水道を供給します。また、豊平峡発電所による水力発電も行われており、出力は50,000kWです。札幌市の水道需要の98%をこのダムが担っています。

温泉と季節の魅力

ダムの下流には「札幌の奥座敷」とも称される定山渓温泉があり、周囲の自然美とともに多くの観光客が訪れます。定山湖の名前は、温泉の開祖である美泉定山に由来しています。ダム湖は2005年に「ダム湖百選」に選ばれ、周囲の国有林も「水源の森百選」に選定されています。特に秋になると、豊平峡周辺は美しい紅葉が楽しめるスポットとして人気があり、多くの観光客が足を運びます。

ダム周辺には遊歩道や展望台、レストハウスがあり、観光案内を提供する豊平峡ダムミュージアム「ひふみみはなめ」もあります。さらに、毎年4月から10月には観光放流が行われ、視覚的な楽しみを与えています。

アクセスと環境保護

ダムは支笏洞爺国立公園内に位置し、環境保護のためダム入口からは一般車両の通行が禁止されています。そのため、訪問者は冷水駐車場から電気バスまたは徒歩でアクセスする必要があります。電気バスは1976年から運行されており、観光客に快適な移動手段を提供しています。ダムまでの道のりでは、美しい自然景観が楽しめ、観光客には人気のアクティビティとなっています。

また、豊平峡ダムへは国道230号を利用してアクセスが容易で、札幌駅や小樽駅からも約1時間ほどで到着が可能です。豊平峡ダムの訪問は、観光と共に環境を考慮したアプローチとなっており、今後も多くの人々に愛され続ける観光スポットであり続けるでしょう。

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