財政再建団体

財政再建団体について

財政再建団体とは、地方自治体が深刻な財政赤字に見舞われた結果、国の指導のもとで独自の再建計画を策定し、再生を目指す団体のことを指します。具体的には、都道府県であれば財政規模の100%、市区町村の場合は20%以上の赤字状態にある自治体がこの認定を受けることになります。

この制度は、1954年度の朝鮮特需の終了による地方財政の悪化を受けて創設されました。多くの自治体は、特例の赤字地方債「財政再建債」を発行しましたが、その結果、償還能力を無視した起債も増え、地方の財政健全性が損なわれました。このような背景から、国は自治体財政を健全化するための仕組みを整え、財政再建団体の認定が行われることになりました。

再建団体の意義と影響

財政再建団体になることは、企業の倒産に似ていると言われますが、破産や民事再生法の適用と異なり、債務免除はなく、地方債の完済が求められます。また、再建計画は国の承認を得て策定され、実際の歳入・歳出は厳しくチェックを受け、自治体自身の自由な財政運営が制限されることになります。

一般的に、財政再建団体は国の管理下におかれ、地方自治の権限が事実上制約されます。これにより、住民サービスの低下や、課税や各種手数料の引き上げが不可避となります。「鉛筆一本を買うのにも国に相談しなければならない」と形容されるなど、自治体の自主性は失われがちです。

財政再建計画の策定

地方自治体が財政再建団体に指定されると、まずは総務大臣に申請し、その結果として「準用財政再建団体」として国の指導を受けながら再建計画を策定します。この計画には地方議会の承認も必要となり、歳入・歳出の具体的なバランス回復が求められます。

再建が成功するためには、国からの多様な支援がある一方、無理のない計画を作成しなければなりません。国が利子補給する仕組みなどを利用しつつ、通常は7年度内に歳入と歳出のバランスを取ることが求められます。

財政再建団体に指定された実例

これまでに指定された財政再建団体には、598団体（都道府県18、市町村570）および準用再建団体296団体などがあります。代表的な例には、福岡県赤池町や北海道夕張市があり、これらの自治体は赤字の増加により再建団体とされました。赤池町は1992年に指定を受け、十年後に再建を完了しました。夕張市は2007年に認定され、巨額の赤字が問題視されました。

これらの自治体は、過去の経済構造に依存していたため、産炭地域での経済的打撃が大きく、再建に向けた国の指導のもとで財政を立て直す努力を行っています。

結論

財政再建団体の仕組みは、地方自治体が困難な財政状況を乗り越える手助けをする一方で、自治体の自主性が損なわれるリスクも抱えています。国の支援を受けながら再建計画を進める中で、どのようにして自治体の自立性を保ちながら再建を果たすかが今後の重要な課題となるでしょう。

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