資産

資産についての詳しい解説

資産（しさん）とは、会計学において企業が保有する経済的価値を指し、将来的に収益をもたらすことが見込まれるものです。企業は出資者や債権者から資本を調達し、その資本を運転資金や設備に用いることで収益を上げることを目的としています。この視点から、資産は「会社に帰属する経済的価値」と捉えられ、貨幣を基準に評価されます。資産の合計額は「総資産」と呼ばれます。

資産は一般に、家計や企業、政府などの経済主体に属する金銭、土地、建物、証券といった価値を広く含む概念として理解されます。一方、狭義には、投資家のロバート・キヨサキによると、家賃収入をもたらす不動産や印税などのように実際に収益を生む資産に特化した定義も存在します。彼は、資産性を持たない自動車や住宅に関して、それが売却益を生まない場合には「負債」と見なしています。

資産の評価方法と会計基準

企業が資産を評価する際、主に「取得原価主義」と「時価主義」の二つのアプローチがあります。日本の財務会計では原則として取得原価主義が採用されており、これに従えば、たとえ資産の時価が上昇した場合でもその評価は変更しません。しかし、将来の収益を得る見込みがなくなった資産に関しては、その評価額を減少させる「減損」が必要です。

財務会計においては、資産の評価基準に貨幣を尺度とすることが要求されます。多くの企業経営においては人材、信用、ブランド価値なども重要ですが、これらは財務上の資産としては一般的に認識されていません（合併の際を除く）。

資産が持つ経済的役割

製造業のケースでは、企業は外部から原材料や設備を購入し、製品製造においてそれらを消費します。この過程で発生するコスト（直接材料費、直接労務費等）は、製品が完成するまでの「資産」として認識されます。資産の本質的な役割は、利益獲得のための努力がまだ利益をもたらしていない状態のことを指し、「生ける原価」と呼ばれます。一方で、製品が売却されると、これらのコストは「売上原価」として記録され、そこから「費用」として認識されるのです。このように、資産は企業の利益につながる重要な要素です。

資産の分類

資産は財務諸表の貸借対照表に「資産の部」として記載され、主に以下の三つに分けられます。

1. 流動資産：通常1年以内に現金化または費用に計上される資産。例えば、現金預金、受取手形、売掛金などが該当します。
2. 固定資産：一定の期間にわたって保有することが見込まれる資産で、土地や建物、機械設備などが含まれます。
3. 繰延資産：特定の期間に支出した資金のうち、将来的に支出が認識されるものです。商法においては創立費、開業費、開発費など特定の支出がこれに該当します。

代表的な資産勘定科目

流動資産

• - 現金預金（現金、普通預金、当座預金）
• - 有価証券
• - 受取手形
• - 売掛金
• - 借入金
• - 前払費用

棚卸資産

• - 商品、原材料、仕掛品

固定資産

• - 有形固定資産（土地、建物、機械）
• - 無形固定資産（特許権、著作権）
• - 投資その他の資産（長期貸付金など）

繰延資産

• - 創立費
• - 開業費
• - 開発費等

資産は企業の経済活動において重要な要素であり、その正確な評価と管理は持続可能な経営を支える基盤となります。

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