赤い影

映画『赤い影』について

『赤い影』（原題: Don't Look Now）は、1973年にイギリスとイタリアの合作で製作されたサスペンス・スリラー映画です。監督はニコラス・ローグが務め、ダフニ・デュ・モーリエの短編小説「いまは見てはだめ」を原作としています。

作品の特徴

この映画は、その独特な映像スタイルと、赤を効果的に使用した演出で知られています。ローグ監督は撮影監督出身であり、その映像センスが本作でも遺憾なく発揮されています。カットバックを多用した編集は、観る者を混乱させ、物語に深みを与えています。また、オカルト的な要素が盛り込まれている点も特徴で、単なるサスペンス映画にとどまらない魅力があります。

ストーリー

物語は、イギリス人夫婦であるバクスター夫妻が、愛娘クリスティンを事故で失うところから始まります。数ヶ月後、夫のジョンは、教会の修復のために妻のローラを連れてイタリアのベニスにやってきます。そこで彼らは、不思議な力を持つ老姉妹と出会います。盲目の妹ヘザーは霊感があり、赤いレインコートを着た亡き娘の姿が見えるというのです。ヘザーは、ローラに「ベニスを離れないとジョンの身に危険が迫る」と警告しますが、ジョンはその言葉を信じません。ローラは不安を募らせていきます。

キャスト

ジョン・バクスター：ドナルド・サザーランド
ローラ・バクスター：ジュリー・クリスティ
ヘザー：ヒラリー・メイソン
ウェンディ：クレリア・マタニア

スタッフ

監督：ニコラス・ローグ
製作：ピーター・カーツ
原作：ダフニ・デュ・モーリエ
脚本：アラン・スコット、クリス・ブライアント
撮影：アンソニー・B・リッチモンド
音楽：ピノ・ドナッジオ

DVDとブルーレイ

日本国内では、2005年にDVDが初リリースされましたが、現在は廃盤となっています。その後、2009年に再リリースされましたが、フランス制作のPALマスターを使用したため、再生速度が早く、劇場公開版よりも本編が短くなっています。2015年にはブルーレイが発売され、2019年には4K修復版も登場しました。

評価

映画の評価は非常に高く、レビューサイトRotten Tomatoesでは94％、Metacriticでは95/100という高評価を得ています。特にイギリスでは人気が高く、映画業界関係者が選ぶ英国映画ベスト100で1位に選ばれるなど、名作として知られています。

作品の魅力

『赤い影』は、視覚的に美しいだけでなく、心理的な恐怖を巧みに描いた作品です。夫婦の喪失感、予知能力を持つ姉妹との出会い、そしてベニスの美しい風景が、複雑に絡み合い、観る者を魅了します。また、映画史に残るセックスシーンも有名で、その点でも注目されています。

まとめ

カルト的な人気を誇る『赤い影』は、単なるサスペンス映画にとどまらず、映像美、心理描写、オカルト要素が見事に融合した傑作です。未見の方は、ぜひ一度ご覧ください。

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