赤血球

赤血球について

赤血球（せっけっきゅう、英: Red blood cell・Erythrocyte）は、酸素を運搬する重要な役割を持つ血液細胞です。本記事では、赤血球の構造、機能、生成過程、および破壊過程について詳しく解説します。

概要

赤血球は、全身の細胞に酸素を供給し、二酸化炭素を排出する役割を果たしています。肺で酸素を取り込み、これを体の隅々に届けるための柔軟な構造を持ち、毛細血管を通過するために優れた変形能力を有しています。赤血球の内部には、酸素と結合する赤いタンパク質ヘモグロビンが存在しています。外観は両面が中央で凹んだ円盤状で、直径は約7-8µm、厚さは2µm強です。体内では、成人男性の場合、1µLあたり約420-554万個、女性の場合は384-488万個の赤血球が存在し、体全体の血液の約40-50%を占めています。

赤血球の構造と機能

赤血球の主な機能は酸素と二酸化炭素の運搬です。赤血球の細胞膜を通じて、これらのガスが交換され、細胞質のヘモグロビンと酵素がこれを助けます。一般的に、赤血球は細胞核やミトコンドリアを持たないため、細胞質は水分とヘモグロビンを主体とし、構造的には非常にシンプルです。その形状は、同じ体積の球体に比べて表面積が30-40%大きく、交換効率の向上に寄与しています。

赤血球の変形能力は動作の柔軟性に関連しており、狭い毛細血管を通過する際に圧縮されても元の形に戻ることができます。成熟した赤血球は、酸素の運搬に特化しており、細胞としての代謝活動はほとんど行わず、エネルギーを短期的に生成するための解糖系を用います。

ヘモグロビンによるガス輸送

赤血球の主要成分であるヘモグロビンは、酸素および二酸化炭素と結合することができ、肺で酸素を受け取り、体の他の部分に運ぶ役割を担っています。ヘモグロビン分子は4つのヘムと4つのグロビンの組み合わせから成り立ち、1gあたり約1.39mLの酸素を結合可能です。このため、成人の赤血球内のヘモグロビンは、約750gあり、合計で1L以上の酸素を運搬する能力を持っています。

赤血球は、組織に酸素を供給する際、組織内の二酸化炭素濃度に敏感に反応します。酸素の供給が求められる場面では、二酸化炭素と酸素の相互作用（ボーア効果）により、酸素が効果的に放出されます。

赤血球の生成と寿命

赤血球は骨髄で造血幹細胞から生成され、成熟には約120日かかります。この間に数回圧縮・変形を繰り返し、脾臓や肝臓でのマクロファージによって捕食されることで分解されます。赤血球の成熟段階には、正染性赤芽球や網赤血球があり、これらは最終的に血流に入る前に脱核されます。

造血は腎臓から分泌されるエリスロポエチン（EPO）によっても調整され、貧血や心不全などの状態から脳からの信号により赤血球の生産が促進されます。これは、低酸素状態や特定の病状にも関連しており、身体は必要に応じて適応しています。

赤血球の破壊

約120日の寿命を迎えた赤血球は、マクロファージにより貪食され分解されます。この過程で形成されたアミノ酸や鉄は再利用され、ビリルビンは胆汁や尿として排出されます。また、赤血球の老化に伴い、細胞膜に変化が起こり、老化した赤血球は容易に破壊される準備が整います。

健康における役割

赤血球は体内の酸素供給を調整し、細胞の活動を支える基盤です。赤血球数やヘモグロビン濃度が正常範囲を保っていることは、健康指標の一つでもあり、それにより体の機能やエネルギー生産が最適に維持されています。

赤血球は、物理的および化学的変化が生じることで、健康な状態とは異なる様々な疾患に影響を受けます。これにより、赤血球の機能は、身体全体の健康状態を示す重要なバイオマーカーとなります。

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