超鉄大帝テスラ

『超鉄大帝テスラ』は、大塚英志が原作を手がけ、大野安之が作画を担当した日本の漫画作品です。

概要

本作は1998年にアスキー・アスペクト刊行の雑誌『ファミ通ブロス』にて連載を開始しました。単行本は翌1999年にアスキー・アスペクトより第1巻が発売されましたが、その後の刊行は中断しました。2000年には角川書店より未収録分を含めた形で上下巻が改めて刊行されていますが、物語自体は未完に終わっています。

作画を担当した大野安之氏の個性的なタッチは、キャラクターデザインにも強く反映されており、原作の大塚氏もその要望を取り入れています。特に、劇中に登場するキャラクターの多くは、大野氏の過去の作品からの「スター・システム」による出演です。主人公の一大寺緋色や北条真奈美は『超電寺学園きらきら』から、マリエラ・ド・リラダン卿に仕える人形たちは、短編作品『素子・クリスティーナ・ジョセフソンさんの野望とその実際』や『CGネットワーカーズ自選作集』に登場した「はいそっくす・おくてっと」のメンバーを元にデザインされています。

あらすじ

物語の舞台は、何者かによって『大日本統帥権帝国』へと変貌し、その支配を日本列島のみならず大陸にまで広げようとする時代。この強大な帝国に対抗するため、満州共和国では一つの組織が立ち上がります。それは「超電磁学園」と通称される「超電磁学園テスラ記念共和国立高等女子高」です。表向きは帝国軍人の花嫁候補を育成する学び舎ですが、その実体は帝国の脅威から満州を守る反帝国抵抗組織でした。組織は、発明王ニコラ・テスラ博士が開発した巨大な自動機械であり、反帝国の象徴とされる「大帝（ヴェリキー）」を擁し、帝国へ敢然と立ち向かいます。

奉天で物売りをしていた少女・一大寺緋色は、ある日自身と瓜二つの少女スカーレットと出会ったことをきっかけに超電磁学園に入学し、「大帝」のメインパイロットとなります。そこで彼女は、自身がテスラ博士の孫娘であり、スカーレットが双子の姉妹であることを知るのです。

主な登場人物

一大寺緋色（いちだいじひいろ）: 本作のヒロイン。奉天で物売りをしていた快活で気立ての良い少女。超電磁学園で「大帝」のメインパイロットを務め、自身がテスラ博士の孫娘であることを知ります。
荼毘（だび）: 緋色の幼なじみ。共に奉天で物売りをしていましたが、緋色を追って超電磁学園の用務員となります。
スカーレット・テスラ: 「大帝」の本来の所有者であり、満州共和国皇太子の婚約者。わがままながらもタフな一面を持ちます。
ニコラ・テスラ: 「大帝」の発明者。ライバルであるエヂソンの罠にかかり命を落としますが、「大帝」内部の特殊な回路にエクトプラズムとして意識を残しています。
北条真奈美（ほうじょうまなみ）: 超電磁学園のルーム長。優れた格闘能力を持ち、「大帝」のサブパイロットの一人です。
来栖原離火（くるすばらりか）: 超電磁学園の寮長。火を操る能力を持ち、北条真奈美と共に「大帝」のサブパイロットを務めます。
マリエラ・ド・リラダン: 満州共和国の実質的な最高権力者。6体の強力な「人形」を従える女王然とした人物。後に帝国に侵食されます。
トマス・エヂソン: ニコラ・テスラのライバル。帝国に魂を売り渡したことで、人間の限界を超えた長寿と能力を得ています。
甘粕正彦（あまかすまさひこ）: 帝国に忠誠を誓う高官。実働部隊を指揮し、主人公たちの前に立ちはだかります。
一大寺（いちだいじ）: 「契丹の秘伝」を継承するラマ僧であり、一連の事件の黒幕。帝国に深く関わっています。

登場メカ

大帝（ヴェリキー）: ニコラ・テスラ博士が開発した巨大な自動機械。普段は巨大な列車「あじあ号」の姿に変形しており、反帝国組織にとって最後の切り札となります。

書籍情報

アスキー・アスペクト
『超鉄大帝テスラ第1巻』 (1999年2月8日初版発行, ISBN 4-7572-0315-2)
角川書店
『超鉄大帝テスラ（上）第1部魔都奉天編』 (2000年11月1日初版発行, ISBN 4-04-713370-1)
* 『超鉄大帝テスラ（下）第2部大陸横断編』 (2000年11月1日初版発行, ISBN 4-04-713371-X)

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