近接戦闘車

近接戦闘車の概要

近接戦闘車は、日本の防衛省が開発を考えていた装輪装甲車です。この車両は、陸上自衛隊の普通科部隊や機甲科偵察部隊が主に装備し、装甲戦闘車両の撃破や情報収集のために用いられる予定でした。具体的には、87式偵察警戒車の後継として設計された「偵察型」と、89式装甲戦闘車の後継にあたる「人員輸送型」の2つのモデルについての研究が進められました。

装備の特徴

近接戦闘車には、車体後部の上面に対地センサが装備される「偵察型」としての機能が考慮されていました。このセンサは、周囲の状況を把握し、迅速な情報収集を可能にするための重要な役割を果たすとされています。また、武装としては、国産の40mmテレスコープ弾機関砲（CTA機関砲）が搭載される見込みでした。これにより、強力な火力を持って敵に対抗する能力が期待されていました。

火力について

この機関砲は徹甲弾（APFSDS）と調整破片弾という異なる弾種を使用でき、状況に応じて素早く弾種を切り替えることができるのが特徴です。特に徹甲弾は装甲戦闘車両に対する有効なワクチンとして利用され、調整破片弾は射出時に時限信管を調整することで、状況に応じた攻撃が可能になるとされています。

テレスコープ弾は、従来の弾薬とは違い、弾丸が薬莢の中に組み込まれた特殊な設計です。この構造により、弾薬の全長が短くなり、体積を約2/3に抑えることができます。その結果、より多くの弾薬を搭載でき、発射速度の向上も期待されます。

共通戦術装輪車の開発

近接戦闘車の開発は正式には開始されていませんが、2010年代末からは「共通戦術装輪車」と称される新たな計画が浮上しています。この計画では、歩兵戦闘車型や偵察戦闘車型に加え、自走迫撃砲型の開発も進められており、2022年9月末にはその試作品らしき車両が確認されています。主砲には、既存の30mm機関砲（Mk 44 ブッシュマスター II）が搭載されたモデルも見られます。

さらに、2024年度の予算計画には、歩兵戦闘車型24両、および機動迫撃砲型8両の取得がじるされているとのことです。これらの動きは、防衛能力の強化を目指すものであり、陸上自衛隊の戦術的役割を一層高めることが期待されています。

まとめ

近接戦闘車は、防衛省が進める防衛装備の一環として注目されていますが、現時点では装備化に向けた具体的な開発は行われていません。しかし、陸上自衛隊が求めるニーズに応えるため、共通戦術装輪車の開発が進められており、将来的には新たな戦闘車両としての活躍が期待されています。

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