長崎県美術館

長崎県美術館：スペイン美術と長崎の文化が織りなす芸術空間

長崎県美術館は、長崎県長崎市出島町に位置する、公益財団法人長崎ミュージアム振興財団が運営する美術館です。JR長崎本線長崎駅より長崎電気軌道を利用し、「出島」電停下車徒歩3分というアクセス抜群の立地にあります。バス利用の場合は、「新地中華街」バス停または「メディカルセンター」バス停から徒歩3～5分です。

本館は、1965年に開館した長崎県立美術博物館を前身とし、2005年に現在の場所に再オープンしました。水路を挟んだ2つの建物からなり、2階渡り廊下で繋がれた、隈研吾氏設計による洗練された建築は、グッドデザイン賞をはじめ、国内外の多くの建築賞を受賞しています。その美しく機能的な空間は、来館者にとって心地よい鑑賞体験を提供します。

美術館の最大の特徴は、外交官・須磨弥吉郎氏がスペイン駐在時に収集した貴重なスペイン美術コレクションと、長崎ゆかりの近代美術作品を豊富に収蔵している点です。須磨コレクションは、1970年に長崎県立美術博物館に寄贈され、本館の設立に大きく貢献しました。

須磨コレクション：スペイン美術の精華

第二次世界大戦中、スペインに駐在した須磨弥吉郎氏が収集したスペイン美術コレクションは、15世紀から20世紀にかけての多様な作品を網羅しており、スペイン絵画史を理解する上で貴重な資料となっています。ゴヤ、ピカソ、ダリといった巨匠の作品に加え、スペイン絵画の伝統を伝える数々の作品が、来館者の目を楽しませます。特に、美術館塔入り口付近の屋外に展示されているサルバドール・ダリによるモニュメント「ガラのニュートン」は、象徴的な存在感を放っています。

長崎ゆかりの美術：郷土の芸術と歴史

長崎県美術館では、スペイン美術コレクションに加え、長崎ゆかりの近代美術作品も多数展示されています。荒木十畝、北村西望、東松照明など、長崎と深く関わる作家の作品を通して、長崎の歴史、文化、そして人々の精神性を深く探ることができます。原爆をテーマにした作品なども展示され、戦争と平和、そして人間の尊厳について考える機会を提供しています。

美術館の取り組み

長崎県美術館は、単なる作品展示にとどまらず、様々な取り組みを行っています。隔週末の夕方と夜には、活水女子大学音楽学部と長崎大学教育学部の学生、教員、卒業生らによるイブニングライブを開催。美術館を地域に開いた文化拠点として積極的に活用しています。また、学術的な研究にも力を入れており、図録などの出版物を通して、美術に関する知識を広める活動にも貢献しています。

展示内容

長崎県美術館には、多様な美術作品が展示されています。主な収蔵品には、以下のものがあります。

スペイン美術:

作者不詳「聖ステパノ」（15世紀末）
フアン・パントーハ・デ・ラ・クルス「フエンテス伯の肖像」（1596年-1600年頃）
フランシスコ・デ・ゴヤ「理性の眠りは怪物を生む」（1798年）
パブロ・ピカソ「鳩のある静物」（1941年）
サルバドール・ダリ「海の皮膚を引き上げるヘラクレスがクピドをめざめさせようとするヴィーナスにもう少し待って欲しいと頼む」（1963年）
サルバドール・ダリ「ガラのニュートン」（1985年）※屋外展示
その他多数

長崎ゆかりの美術:

荒木十畝「早春」（1916-1922年頃）
彭城貞徳「和洋合奏之図」（1906年頃）
北村西望「母子像」（1925年）
富永直樹「少年平和像（原爆子供記念碑）」（1949年）
鴨居玲「私の話を聞いてくれ」（1973年）
東松照明の作品群
その他多数

長崎県美術館は、スペイン美術と長崎の文化が融合した、魅力的な美術館です。訪れる際には、これらの貴重な作品を鑑賞し、長崎の歴史と文化、そして世界の芸術に触れてみてください。

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