長後街道

長後街道：歴史と現代が交錯する道

長後街道は、神奈川県横浜市戸塚区のバスセンター前から藤沢市長後小学校入口に至る道路の名称です。かつての大山道の一部であり、地域住民にとって重要な生活道路、そして歴史と文化が薫る道として親しまれています。この街道は、神奈川県道22号横浜伊勢原線の一部区間、及び都市計画道路3・5・27号高倉下長後線の一部を構成しています。

歴史的背景

長後街道の前身となる旧道は、戸塚みちや八王子街道と呼ばれていました。明治から大正時代にかけて、藤沢市北部、横浜市泉区、瀬谷区周辺では養蚕が盛んでした。長後街道沿いには製糸工場が数多く存在し、八王子方面からの繭の集荷、そして戸塚や保土ヶ谷を経由した横浜港への絹糸輸送において、重要な役割を果たしていました。

開通当初は「新道」や「厚木街道」と呼ばれていましたが、昭和50年代頃から現在の「長後街道」という名称が定着しました。

現代の長後街道

現在、長後街道は横浜市泉区の主要幹線道路として機能しており、災害時には交通規制の対象となる重要な道路です。かつては片側1車線で朝夕の混雑が激しかったものの、横浜市営地下鉄ブルーラインの建設と同時に行われた道路拡幅工事や、バス路線の減便・改廃によって、交通状況は大幅に改善されました。

しかし、一部区間では依然として通勤時間帯の交通集中が見られ、根本的な改善には至っていない部分もあります。

戸塚みちの面影

長後街道の大部分は戸塚みちとして利用されていましたが、現在も一部区間は生活道路として残っています。これらの区間は、以下の通りです。

清源院入口交差点から矢沢交差点に至る約440メートルの区間
中田町東原交差点から長後街道に至る約900メートルの区間
泉区総合庁舎東側交差点から和泉川に至る約280メートルの区間
和泉坂上交差点から境川沿いの旧かまくらみちに至る約400メートルの区間

これらの区間には、かつての大山道の面影が残っています。

路線データ

起点：バスセンター前（神奈川県道22号横浜伊勢原線）
終点：長後小学校入口（神奈川県道42号藤沢座間厚木線）
通過自治体：神奈川県横浜市（戸塚区、泉区）、藤沢市

長後街道の歴史

1887年（明治20年）：戸塚町矢沢から飯田に至る新道建設開始
1901年（明治34年）：仮定県道に指定
1902年（明治35年）：戸塚町から長後に至る新道建設開始
1913年（大正2年）：厚木往還道を厚木県道に改称
1914年（大正3年）：新道完成。乗合馬車運行開始、後にバス運行開始
1920年（大正9年）：厚木戸塚停車場線として県道に指定
1923年（大正12年）：戸塚伊勢原線として県道に指定。関東大震災で矢沢隧道が崩落、後に切り通しに改良
1945年（昭和20年）：ダグラス・マッカーサーが厚木海軍飛行場から横浜へ向かう途中に休憩。

長後街道は、時代とともに変化しながらも、地域の歴史と文化を今に伝える重要な道として、その役割を果たし続けています。

地理的特徴

長後街道は、起点であるバスセンター前交差点（標高16.5メートル）から、踊場交番前交差点（標高60.5メートル）まで上り坂が続き、その後は緩やかな上り下りを繰り返しながら、終点に向けて徐々に下ってゆきます。特に、横浜市営地下鉄ブルーラインの線路が道路直下を通る区間では、その影響で道路構造も特徴的です。

主要な交差点

長後街道は、以下の主要な道路と交差しています。

国道1号（バスセンター前交差点）
国道1号横浜新道戸塚支線（矢沢交差点）
横浜市都市計画道路中田さちが丘線（中田町東原交差点）
神奈川県道402号阿久和鎌倉線（立場交差点）
環状4号線（和泉坂上交差点）
神奈川県道451号藤沢大和自転車道線（境川高鎌橋）
神奈川県道22号横浜伊勢原線（高鎌橋交差点）
国道467号（長後小学校入口交差点）

これらの交差点は、長後街道を利用する上で重要なポイントとなります。

参考文献

泉区小史編集委員会『いずみ　いまむかし　―泉区小史―』
小島貞夫『長後街道繪巻』

これらの文献は、長後街道の歴史や背景を深く理解する上で貴重な情報源となります。

関連情報

神奈川県の県道一覧
* 泉区を横断する「長後街道」　横浜市泉区役所



長後街道は、その歴史と現代の姿が混ざり合い、地域住民の生活を支える重要な道路であると共に、訪れる人々に歴史のロマンを感じさせる道と言えるでしょう。

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