関西空港線

関西国際空港線：関西の空の玄関口を結ぶ鉄路

関西国際空港線は、大阪府泉佐野市の日根野駅から同府泉南郡田尻町の関西空港駅を結ぶ、西日本旅客鉄道（JR西日本）の鉄道路線です。大阪湾の海上を走る区間を含む、特徴的な路線として知られています。全長11.1kmの路線は、関西国際空港への重要なアクセスルートとして、多くの旅客を運びます。

海上区間と路線の特色

この路線の最大の特徴は、全長約33.7%、約3.75kmが大阪湾の海上を通っている点です。りんくうタウン駅～関西空港駅間では、南海電気鉄道空港線と線路を共用し、関西国際空港連絡橋を渡ります。この連絡橋は、在来線の鉄道橋としては最長の橋としても知られています。 海上を走る路線は、国内でも少なく、独特の景観を旅客に提供しています。また、JR西日本のアーバンネットワークに含まれ、路線記号はS、ラインカラーはJR西日本のコーポレートカラーである青が用いられています。

日根野駅を起点に、阪和線から分岐して空港へと向かいます。りんくうタウン駅を除く全区間はJR西日本近畿統括本部が管轄し、「大阪近郊区間」およびICOCAエリアに含まれています。

運行形態：特急「はるか」と関空快速

関西空港線では、複数の種類の列車が運行されています。

特急「はるか」: 京都駅（一部野洲駅）～関西空港駅間を結ぶ特急列車で、1日30往復以上の運転があります。東海道本線、大阪環状線、阪和線を経由し、日中時間帯は天王寺～関西空港間を無停車で運行します。
関空快速: 関西国際空港と大阪方面を結ぶ快速列車で、阪和線、大阪環状線を経由して運行されます。多くの列車は大阪環状線を一周しますが、一部の列車は大阪駅・京橋駅発着や天王寺駅発着となります。
* 普通列車（シャトル）: 線内完結の普通列車で、朝に関西空港行き、深夜に日根野行きが数本運行されます。

これらの列車は、4両または8両編成で運行され、女性専用車両の設定はありません。過去には「関空特快ウイング」や「ウエスト関空」といった臨時列車も運行されていました。

利用状況と車両

関西空港線の利用状況は、関西国際空港の利用状況と密接に関連しています。年間利用者数は1996年度にピークを迎えましたが、その後は変動を繰り返しています。近年はLCCの増加や訪日外国人観光客の増加により利用者数が増加傾向にありましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に減少しました。

運行に使用される車両は、吹田総合車両所日根野支所に所属する電車です。特急「はるか」には281系と271系、関空快速・シャトルには223系（0・2500番台）と225系（5000・5100番台）が使用されています。開業以来、当線には他路線からの転用車両は一切使用されていません。

駅と運賃

関西空港線には、日根野駅、りんくうタウン駅、関西空港駅の3駅があります。りんくうタウン駅はJRと南海が共用しています。日根野駅と関西空港駅はJR西日本の直営駅、りんくうタウン駅は南海電気鉄道の管轄ですが、JR西日本交通サービスが業務委託するみどりの窓口があります。

運賃は全線で加算運賃が設定されており、基本運賃に加えて、関西空港線区間の距離に応じて加算運賃が加算されます。りんくうタウン駅～関西空港駅間は、JRと南海で運賃が同一です。2025年4月1日からは全線が電車特定区間となる予定です。

歴史と将来

関西空港線は、関西国際空港の開港に合わせて1994年6月15日に開業しました。開業以来、数度のダイヤ改正や車両更新が行われ、現在に至ります。2018年には台風21号の影響で大きな被害を受け、一時的に運休となりましたが、復旧作業を経て全線運転再開を果たしました。

将来展望としては、関西国際空港の更なる発展に伴い、利用者数の増加が見込まれます。また、周辺地域の開発も進んでいることから、関西空港線は関西地域における重要な交通インフラとして、その役割を担い続けるでしょう。

もう一度検索