障害者

障害者の定義と現状

障害者（しょうがいしゃ）とは、心身に機能障害を持ち、それに伴う社会的障壁によって日常生活や社会活動に影響を受ける人々を指します。具体的には、身体障害者、知的障害者、精神障害者、発達障害者などがこの定義に含まれます。日本の児童福祉法では、18歳未満の障害者を障害児と定義しています。

国際連合およびWHOの定義

障害者に関する国際的な定義は、特に国際連合が制定した「障害者の権利に関する条約」によって示されています。この条約では、障害を「機能障害と社会的障壁との相互作用により生じる」と定義し、障害の解消が個人の責任ではなく社会全体の責任であることを強調しています。一方、World Health Organization（WHO）は、障害についても同様の観点から定義を行っています。

日本における障害者の定義

日本の障害者基本法でも障害者は、身体障害、知的障害、精神障害（発達障害を含む）を持つ人々であり、日常生活や社会生活に継続的に制限を受ける状態にあることが定義されています。また、障害者福祉に関する法律が多数整備されており、さまざまな形で障害者支援がなされています。たとえば、身体障害者福祉法や精神保健福祉法などに基づいて、障害者手帳の取得や等級認定の手続きが行われています。

社会モデルと医学モデルの違い

障害についての理解は「医学モデル」と「社会モデル」に大きく分かれます。医学モデルは、障害を個人の健康状態や病気として捉え、その治療に焦点を当てるのに対し、社会モデルは障害を社会の構造的問題として捉えます。この観点から、障害は個人に帰属するものではなく、社会が作り出す障壁によって生じるものであると理解されます。

障害者の権利運動と法整備

1980年代以降、障害者の権利運動が世界中で広まりました。日本でも1992年に「障害者の職業リハビリテーション及び雇用に関する条約」の批准が行われ、2006年には障害者権利条約が採択されました。これにより、障害者の権利が明確に保障されるようになり、さまざまな法律が制定されました。特に、障害者差別解消法や障害者総合支援法の施行により、障害者の権利や福祉が着実に向上しています。

障害者と貧困の関係

障害者と貧困は密接に関係しています。障害者は労働市場において不利な立場に置かれがちで、収入の安定性が欠如することが多いです。貧困が健康や教育の機会を制限し、さらに障害の状態を悪化させる要因となることもあります。このため、障害に対する社会的な理解と支援が求められています。

障害者施策と支援の現状

日本では、障害者施策が年々充実してきています。最近では、障害者雇用促進法に基づき、企業は一定割合の障害者を雇用する義務があるほか、さまざまな支援制度が整備されています。また、教育の面でも特別支援教育が推進され、障害を持つ子供たちが通常学級で学べる環境が整えられつつあります。社会全体で障害者との共生が進むことが期待されています。

結論

障害者が直面する課題は多岐にわたり、障壁を取り除くためには社会全体の意識改革が必要です。国際的な取り組みや国内の法律制度も重要ですが、最終的には私たち一人ひとりが障害者を理解し、共に生きる社会の実現に向けた努力が欠かせません。

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