雪江

雪江（せっこう）は、生没年不詳の江戸時代に活躍した大坂の浮世絵師です。師については、長谷川貞信の門人であったという説がありますが、確証はありません。

雪江は、天保年間から安政年間にかけて作品を制作しており、役者絵や風景画の錦絵を手がけました。彼の作品の特徴としては、歌川広重の保永堂版「東海道五十三次」を模写した小判錦絵が挙げられます。この作品は、全54枚揃いで、「戸塚」などの宿場を描いたものが含まれています。広重の作品を基にしながらも、雪江独自の視点や表現が加えられていると考えられます。

雪江の作品は、当時の大坂の庶民文化を反映しており、その画風は、写実的でありながらも、どこか温かみを感じさせるものがあります。彼の描いた役者絵は、当時の人気役者の姿を生き生きと捉えており、その表情や衣装の細部まで丁寧に描かれています。また、風景画では、東海道の宿場の賑わいや自然の美しさを、繊細な筆致で表現しています。

雪江の作品は、現在では、浮世絵の貴重な資料として、研究者や愛好家によって大切に保存・研究されています。彼の作品は、江戸時代の庶民の生活や文化を知る上で、重要な手がかりとなります。

参考文献としては、以下のものが挙げられます。

井上和雄編『浮世絵師伝』渡辺版画店、1931年（国立国会図書館デジタルコレクションに本文あり）
日本浮世絵協会編『原色浮世絵大百科事典』（第2巻）大修館書店、1982年

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