飯石郡

島根県飯石郡：歴史と自然が織りなす地の詳細解説

飯石郡（いいしぐん）は、島根県に位置する郡であり、その歴史は古代にまで遡ります。2025年1月1日現在の推計人口は4,184人、面積は242.88平方キロメートル、人口密度は17.2人/平方キロメートルです。現在は飯南町（いいなんちょう）という一つの町を含んでいます。

郡域の変遷

飯石郡は、1879年（明治12年）に行政区画として発足しました。当時の郡域は、現在の出雲市の一部（西谷町、佐田町須佐など）、雲南市の一部（三刀屋町各町、吉田町各町、掛合町各町、木次町下熊谷、木次町上熊谷）、そして飯南町の大部分（塩谷、井戸谷、畑田を除く）にあたります。

歴史

古代

飯石郡は、律令制の施行によって制定されたと考えられています。郡名は『出雲国風土記』によれば、伊毘志都幣命（いひしつべのみこと）という神がこの地に鎮座していたことに由来します。郡家は多禰郷に置かれていました。

郷里

天平5年（733年）に成立したとされる『出雲国風土記』には、7つの郷の中に19の里があったと記されています。具体的には、以下の郷が存在しました。

熊谷郷：現在の雲南市三刀屋町上熊谷、下熊谷、木次町上熊谷、下熊谷辺り。
三屋郷：三刀矢郷から神亀3年（726年）に改名。現在の雲南市三刀屋町三刀屋など。
飯石郷：伊鼻志郷から神亀3年（726年）に改名。現在の雲南市三刀屋町多久和など。
多禰郷：種郷から神亀3年（726年）に改名。現在の雲南市三刀屋町乙加宮など。
須佐郷：現在の出雲市佐田町須佐、雲南市掛合町穴見辺り。
波多郷：現在の雲南市掛合町波多、飯石郡飯南町志津見辺り。
* 来嶋郷：現在の飯石郡飯南町頓原など。

式内社

『延喜式』神名帳には、郡内の式内社が記されています。

近世以降の沿革

明治初年時点での支配は、「旧高旧領取調帳データベース」に詳細が記載されています。明治4年（1871年）の廃藩置県により、松江県と広瀬県の管轄となり、その後、島根県の管轄となりました。

明治8年（1875年）には、村の合併が行われ、古城村、高窪村、乙加宮村、大呂村、波多村が新たに誕生しました。明治12年（1879年）には、郡区町村編制法が施行され、行政区画としての飯石郡が発足し、郡役所が掛合村に設置されました。

町村制以降の沿革

明治22年（1889年）の町村制施行により、一宮村、三刀屋村、鍋山村、飯石村、中野村、松笠村、多根村、田井村、吉田村、掛合村、須佐村、波多村、志々村、頓原村、来島村、赤名村が発足しました。その後、明治29年（1896年）には須佐村が分割され、東須佐村と西須佐村が誕生しました。

郡制は、大正12年（1923年）に郡会が廃止され、大正15年（1926年）に郡役所が廃止されました。昭和に入ると、三刀屋村が町制を施行して三刀屋町となり、赤名村も赤名町となりました。昭和16年（1941年）には、三刀屋町と一宮村が合併し、改めて三刀屋町が発足しました。

昭和24年（1949年）には頓原村が町制を施行して頓原町となり、昭和26年（1951年）には掛合村、多根村、松笠村が合併して掛合村が発足し、後に掛合町となりました。

昭和28年（1953年）には、赤名町と邑智郡谷村が合併し、東須佐村と西須佐村が合併して須佐村が発足しました。昭和29年（1954年）には、三刀屋町、飯石村、鍋山村、中野村が合併し、吉田村と田井村が合併しました。

昭和30年（1955年）には掛合町と波多村が合併し、昭和31年（1956年）には須佐村が簸川郡窪田村と合併して簸川郡佐田村が発足しました。昭和32年（1957年）には、来島村と赤名町が合併して赤来町が発足し、志々村と頓原町が合併して頓原町が発足しました。

平成16年（2004年）には、三刀屋町、吉田村、掛合町が大原郡大東町、加茂町、木次町と合併して雲南市が発足し、郡から離脱しました。平成17年（2005年）には、頓原町と赤来町が合併して飯南町が発足し、現在に至ります。

飯石郡は、その長い歴史の中で、多くの変遷を経て現在の形となりました。豊かな自然と歴史的な背景を持つこの地域は、島根県の重要な一部であり続けています。

もう一度検索