駒ヶ岳駅

駒ヶ岳駅（こまがたけえき）は、北海道茅部郡森町に位置する、北海道旅客鉄道（JR北海道）函館本線に所属する駅です。駅にはH65の駅番号が付与されており、電報略号は「コマ」が用いられています。事務管理コードは▲140111です。

歴史

この駅は、1903年（明治36年）6月28日に、北海道鉄道の本郷駅（現在の新函館北斗駅）から森駅までの区間が延伸された際に、「宿野辺駅（しゅくのべえき）」として産声を上げました。開業当初は、旅客だけでなく貨物や荷物も取り扱う、一般的な駅として機能していました。

開業から一年余りが経過した1904年（明治37年）10月15日には、「駒ヶ嶽駅」（当時の表記は「駒ヶ嶽」）へと名称が改められました。1907年（明治40年）7月1日に北海道鉄道が国有化されたことで、この駅も国の管理下に置かれます。その後の1909年（明治42年）10月12日、国有鉄道線路名称が制定された際に、函館本線の一駅となりました。第二次世界大戦後の1949年（昭和24年）6月1日には、日本国有鉄道法施行に伴い、正式に日本国有鉄道（国鉄）の駅として運営されることになります。

高度経済成長期に入ると、鉄道による貨物輸送や荷物取扱いの形態が変化し、当駅でもその業務が廃止されていきます。1962年（昭和37年）12月1日には貨物扱いが廃止され、さらに1972年（昭和47年）4月5日には荷物扱いも終了し、これと同時に駅は無人化されました。駅の無人化後も、ホーム間の移動を容易にするため、1978年（昭和53年）12月30日には跨線橋が新たに設置されています。国鉄の分割民営化という大きな転換点を迎え、1987年（昭和62年）4月1日からは北海道旅客鉄道（JR北海道）にその運営が引き継がれました。翌年の1988年（昭和63年）3月には駅舎の改築が行われ、現在の姿となっています。かつて一部の快速「アイリス」が停車していましたが、2000年（平成12年）3月11日のダイヤ改正で下り列車の停車がなくなり、以降は普通列車のみが停車する駅となりました。近年では、2007年（平成19年）10月1日に利用者の利便性向上のため駅ナンバリングが導入され、「H65」という番号が割り振られています。

駅名の由来

現在の駅名である「駒ヶ岳駅」は、駅が北海道駒ヶ岳という美しい山の麓に位置していることに由来しています。一方、開業時の駅名であった「宿野辺（しゅくのべ）」は、この地域の古い地名に由来し、アイヌ語の「シュプン・オ・ペ」という言葉がその語源とされています。「シュプン・オ・ペ」とは、「ウグイという魚が群棲するところ」、すなわちウグイが多く集まる場所という意味合いを持っています。

駅構造

駒ヶ岳駅は地上に位置しており、線路を挟んで向かい合う形の相対式ホームが2面と、それに接する線路が2線設けられた構造となっています。この配線により、列車同士の行き違い（交換）が可能です。上下線それぞれのホームは、駅舎に接する上り線ホームの南側と、その反対側にある下り線ホームの北側を結ぶ跨線橋を使って行き来します。これらの本線以外にも、下り線から分岐する中線が1線と、万が一の際に安全を確保するための安全側線が上り・下りそれぞれに1線ずつ設けられています。過去には、1993年時点の記録で、下り線の外側に転轍機（ポイント）が撤去された側線が1線存在していたことも確認されています。

駅は現在、森駅によって管理されている無人駅です。かつて駅員が配置されていた頃の駅舎は改築され、現在の建物は、出入口の上部を覆う合掌造りのようなデザインや、窓の上に配された三角形の飾りが個性的な、印象に残る外観をしています。駅舎は構内の東側、つまり列車が旭川方面へ向かう際に進行方向を見て右手に位置しており、下り列車が停車するホームの中央部分に面して建てられています。駅舎本体の脇には、独立した建物としてトイレも設置されています。

駅の設置されている場所は、標高174.3メートルという比較的高い地点にあります。これは、隣の大沼駅と森駅の間に位置する、函館本線上での最高地点（標高174.7メートル）に非常に近い標高です。

利用状況

駅の乗車人員に関するデータは過去に記録されており、年ごとの利用状況の推移が示されています。駅周辺は戸数が少ない小さな集落であるため、利用状況もその規模に応じたものとなっています。現在は無人駅として運営が行われています。

駅周辺

駒ヶ岳駅の周囲には、数十戸ほどの住宅が点在する、静かで落ち着いた集落が広がっています。集落の中には、住民の生活を支える駒ヶ岳郵便局や森町立駒ヶ岳小学校といった施設が見られます。集落の外に目を向けると、広大な牧場などが広がり、北海道らしい雄大な自然景観が広がっています。

駅名の由来となった北海道駒ヶ岳は、駅の北東の方角にその雄大な姿を見せてくれます。かつては、駒ヶ岳登山を志す人々が下車する駅としても利用されていましたが、現在は同山の火山活動の影響により、登山ルートや入山できる期間・時間が厳しく制限されています。現状では、赤井川ルートの6合目ゲートからのみ入山が可能で、例年6月1日から10月31日までの期間、午前9時から午後3時までの時間に限られています。

駅周辺には、主要な幹線道路である国道5号線が通っています。その他、森警察署駒ヶ岳駐在所、ソダシャロレー牧場、ワールド温泉、ワールド温泉牧場などが点在しています。また、駅前には函館バスの「駒ヶ岳駅通」バス停留所が設置されており、路線バスへの乗り換えも可能です。

隣の駅

北海道旅客鉄道（JR北海道）函館本線において、当駅に隣接する駅は以下の通りです。

長万部方面：赤井川駅 (H66)
森方面：森駅 (H62)

かつて、当駅と森駅の間には東山駅 (H64) が存在しましたが、現在は廃止されています。森駅との間には、列車運行上の要衝である姫川信号場が設けられています。

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