高島埠頭

高島埠頭の歴史と変遷

高島埠頭は、かつて神奈川県横浜市西区に位置していた横浜港の埠頭です。その歴史は、山内埠頭とともに「横浜港第三期拡張工事」の一環として、内国貿易埠頭として整備されたことに始まります。1921年（大正10年）より、高島駅・高島ヤードの海側が埋め立てられ、埠頭の築造工事が開始されました。しかし、1923年（大正12年）の関東大震災により、建設中の埠頭だけでなく横浜港全体の施設が壊滅的な被害を受け、復旧工事が優先されたため、完成は大幅に遅れることとなりました。

その後、1930年（昭和5年）に一号桟橋、1933年（昭和8年）に二号桟橋が完成し、1934年（昭和9年）までに埠頭の整備が完了しました。太平洋戦争終結後の1945年（昭和20年）には、横浜港の全港湾施設が連合国に接収されましたが、高島埠頭は1947年（昭和22年）に比較的早く返還されました。

他の埠頭や港湾施設も順次返還されましたが、港湾機能としては十分でなかったため、高島埠頭の北東部に三号桟橋が建設されることになり、1954年（昭和29年）に完成しました。「横浜港第三期拡張工事」の当初計画では、三号桟橋の北隣に四号桟橋も建設される予定でしたが、市営四号上屋のみの建設にとどまりました。

埠頭内には、高島駅から分岐する貨物支線として表高島駅が設置され、二号桟橋の市営二号上屋と三号桟橋の市営三号上屋には引込線も敷設されていました。また、新しく建設されるごとに桟橋の規模が拡大していき、戦後に完成した三号桟橋が最も広く、船舶の利用も多くなりました。かつては東海汽船の大島航路が1980年代初頭まで一号桟橋に寄港していましたが、現在は大さん橋に寄港しています。

みなとみらい地区への再開発

1980年代に入ると、隣接する高島駅や高島ヤードとともに、高島埠頭の使用頻度は大きく低下し、港湾埠頭としての役割を終えました。1983年（昭和58年）に三菱重工業横浜造船所の移転が完了すると、同年には「横浜みなとみらい21」事業が着工され、高島埠頭でも1980年代後半にかけて三本の桟橋や港湾施設の撤去・解体、そして海側の更なる埋め立てが行われました。特に三号桟橋は1988年に撤去が完了しました。これらの再開発により、周辺地域は大きく変貌を遂げました。

現在の高島埠頭のあった場所は、埋め立てによって沿岸線が大きく変化し、オフィスビルや商業施設が集積する地域となっています。かつての埠頭の面影はほとんど残っていません。

埠頭の位置と施設

高島埠頭は、かつて高島一丁目（旧表高島町）に位置していましたが、現在の住所では、みなとみらい四丁目から六丁目（東側の一部）に該当します。埠頭内には、三本の桟橋（一号〜三号桟橋）と、一号から四号までの上屋、その他の港湾施設が設置されていました。以下に各桟橋・上屋の位置を示します。

一号桟橋/市営一号上屋: 旧横浜ジャックモールイーストの東側のサンクス付近
二号桟橋/市営二号上屋: 高島中央公園の南東側の高島中央公園南交差点付近
三号桟橋/市営三号上屋: 臨港パーク入口交差点付近
市営四号上屋: 国土交通省関東地方整備局 京浜港湾事務所の東側


これらの位置は、現在の地図と照らし合わせると、当時の埠頭の形状と施設配置をある程度把握することができます。

参考文献・資料

高島埠頭の歴史と変遷を理解する上で、以下の資料が参考になります。

横浜市三千分一地形図（昭和30年代）（横浜市建築局）
横浜駅周辺の地形図変化（明治〜平成）（Old Map Room）
週刊 横濱80's 「高島埠頭」（2012年6月3日）/「高島埠頭の市営上屋」（2013年5月19日）

これらの資料を参照することで、より詳細な情報や当時の様子を知ることができます。

関連項目

新港埠頭: 高島埠頭と同様に、みなとみらい地区の一部（新港地区）として再開発が実施された埠頭です。

高島埠頭は、その歴史の中で横浜港の重要な一部であり、また都市再開発のモデルケースとしても注目すべき場所です。その変遷を知ることは、横浜の歴史と未来を理解する上で重要な意味を持つと言えるでしょう。

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