高見山

高見山：近畿のマッターホルンと呼ばれる山

高見山（たかみさん、たかみやま）は、奈良県吉野郡東吉野村と三重県松阪市（旧飯南郡飯高町）の境にそびえる山です。標高1,248.9mを誇り、台高山脈の北端に位置しています。古くから人々に親しまれてきたこの山は、その雄大な姿と豊かな自然から、「関西のマッターホルン」とも呼ばれています。

地理的な特徴

高見山は、地理学的にも重要な位置を占めています。奈良県側では紀ノ川水系の高見川（平野川・杉谷川）、三重県側では櫛田川の源流となっており、豊かな水資源を育んでいます。さらに、この山付近には中央構造線が走っており、地質学的にも興味深い場所と言えるでしょう。かつては「高角山」や「高水山」などと呼ばれていた時期もあったようです。西側から眺める円錐形の山容は、まさに「関西のマッターホルン」の名にふさわしい、力強い姿を見せています。

山頂部はブナ林に覆われ、四季折々の表情を見せてくれます。特に冬季には、霧氷が美しい幻想的な風景を作り出し、多くの登山者を魅了します。山頂には、高角神社と避難所を兼ねた展望台が設けられており、休憩や展望を楽しむことができます。

登山道は、高見峠（大峠）の高見山大峠駐車場から最短ルートでアクセスできます。奈良県と三重県の県境に沿ってジグザグに続く登山道は、自然を満喫しながら登頂を目指すのに最適です。西側にある小峠へのルートでは、ユニークな名前のついた露岩、例えば「笛吹岩」や「ゆるぎ岩」などに出会うことができます。これらの岩は、長い年月をかけて自然が作り上げた芸術作品と言えるでしょう。

歴史と伝説

高見山は、古くから人々の信仰の対象となってきました。神武天皇東征の際に、櫛田川から大和へと入ったという伝説があり、山頂には、天皇が上って四方を見渡したとされる「国見岩」が残されています。また、神武天皇を導いたとされる八咫烏を祀る高角神社も山頂に鎮座しています。

さらに、万葉集にも「いざ見の山」として詠まれた歌があり、この山を指しているのではないかという説があります。「我妹子を　いざ見の山も高みかも　大和の見えぬ　国遠みかも」という歌は、高見山から眺める大和の壮大な景色を表しているのかもしれません。

その他

なお、相撲界では高砂部屋の伝統的な四股名として「高見山」が知られていますが、これはこの山に由来するものではなく、偶然の一致です。明治時代以降、5人の力士がこの四股名を使っています。

まとめ

高見山は、自然の雄大さ、歴史の深さ、そしてアクセスしやすさを兼ね備えた、魅力的な山です。絶景を眺めながらの登山、歴史を感じさせる神社仏閣、そしてユニークな岩など、見どころ満載です。近畿地方を訪れた際には、ぜひ一度、この山に足を運んでみてください。山頂からの眺望は、きっと忘れられない思い出となるでしょう。

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