魔法少女?なりあ☆がーるず

『魔法少女？なりあ☆がーるず』とは

『魔法少女？なりあ☆がーるず』は、2016年7月から9月にかけて放送されたテレビアニメです。この作品は、石ダテコー太郎監督が手がけた「生放送アニメ」という独特な形式を採用しており、制作過程から視聴者が参加できる点が大きな特徴です。前作『みならいディーバ』に引き続き、ユーザー参加型の要素を取り入れつつ、新たな試みとして「きぐるみライブアニメーター・KiLA」というモーションキャプチャツールを導入した初のテレビアニメ作品となりました。

作品の概要

このアニメは、10分枠のショートアニメとして放送されました。ジャンルとしては「魔法少女アニメ」に分類されますが、その制作スタイルは非常に実験的でした。生放送でアニメを制作し、その映像を2日間で編集して地上波で放送するという、これまでにない手法がとられました。制作現場で起こるハプニングやドタバタ劇も視聴者に見せることで、バラエティ番組のような楽しさを提供しました。制作には、監督の石ダテが立ち上げた会社バウンスィのメンバーがフル参加しています。

また、本編には登場しないものの、CMでは『てーきゅう』の高宮なすの（声 - 鳴海杏子）がコラボ出演するなど、ユニークな展開もありました。最終回後には、キャストやスタッフによる打ち上げトークイベントが開催され、ファンとの交流も深められました。

生放送アニメの舞台裏

このアニメの制作は、ニコニコ生放送で『なりあ☆がーるずの生でアニメをつくるさま』（通称『アニさま』）という番組として生中継されました。この番組で制作された映像が編集され、地上波アニメとして放送されるという流れです。さらに、ニコニコ生放送では『なりあ☆がーるずの生でラジオもつくるさま』も配信されました。

『アニさま』は、当初ニコニコ生放送のみで配信されていましたが、後にビリビリ動画やFRESH! by AbemaTVでも同時生放送されるようになり、日中3大WEBプラットフォームでの同時生放送という形になりました。

番組の基本構成は、前回の感想、収録予定の説明、前説、アドリブパート、魔獣とのエチュードパート、変身シーン、必殺技シーンという流れで、回を追うごとに定番のフレーズや展開が生まれていきました。本編のストーリーやゲスト出演パートは別撮りとなっており、中盤以降はシリアスなシーンや尺を補うシーンが追加されました。大胆な編集がなされることも多く、回によってはカットされたパートもありました。

制作中には、音声がずれたまま放送されてしまうなどのトラブルもありましたが、配信されたアーカイブ動画では修正されています。

慣性式モーションキャプチャー『KiLA』

この作品の制作には、『KiLA』（きぐるみライブアニメーター）というモーションキャプチャツールが使用されました。このツールは、NOITOMが開発した『PERCEPTION NEURON』というシステムをベースにしており、30分アニメ1～2話分の予算で1クール（12話分）の番組制作が可能であると謳われています。このシステムは、ジャイロスコープ、加速度計、磁力計などのIMU（慣性計測装置）を32個使用し、センサーの動きを検出する慣性式モーションキャプチャーを採用しています。

しかし、慣性式モーションキャプチャーには、絶対位置を観測して固定する機能がないため、時間が経つにつれてキャラクターの位置がずれてしまうという欠点があります。そのため、定期的に位置情報をリセットするキャリブレーション作業が必要になります。また、センサー類は身体にマジックテープで固定されているため、キャストの動きによっては脱落などのトラブルも発生していました。

あらすじ

イントロダクション

物語は、人気者になることを目指すうららたちが、手作りアニメを制作する中で「魔法少女もの」の設定を選んだことから始まります。第2話以降のオープニングでは、その設定を反映した小芝居が繰り広げられます。

作品ストーリー

うららたちは、謎の生物・アニまるから自分たちの世界を助けてほしいと夢で告げられます。その直後、彼女たちの前に怪人が出現し、アニまるが現実世界に現れて変身アイテムを渡します。こうして彼女たちは、伝説の戦士「なりあ☆がーるず」に変身し、ナリアのパワーを集めるためにアイドル活動も行うことになります。

登場キャラクター

メインキャラクター

うらら（声 - 深川芹亜）：ピンク髪のショートヘアが特徴。チームのセンターポジションで、天然で天真爛漫なキャラクター設定ですが、はなびの天然っぷりに押されてキャラが迷走することも。裏キャラ「うら男」も存在します。イメージカラーはピンク（赤）。ナリアのシンボルはピンクのハート。武器はステッキ。
はなび（声 - 古賀葵）：金髪ツインテールで貧乳という属性を持つキャラクター。進行・ツッコミ役を担当しますが、天然な一面も持ち合わせています。イメージカラーは水色（青）。ナリアのシンボルはイエローのダイヤ。武器は剣。
いなほ（声 - 桑原由気）：黒髪で巨乳のキャラクター。頭が良くお金持ちのお嬢様という設定です。イメージカラーは紫。ナリアのシンボルはパープルのカボション（楕円）。武器は弓。
アニまる（声 - 石ダテコー太郎）：ナリアディア王国から来た白い生物。ストーリーに必要なセリフ以外はカットされることが多いです。当初はボイスエフェクトを使用していたが、生放送中に地声とダブって発声されるハプニングがありました。

ゲストキャラクター

ゲスト声優は別撮りで収録されており、過去に石ダテ監督が関わった作品に出演経験のある声優が担当することが多いです。各ゲストは魔獣役として登場し、それぞれ異なる特徴的なセリフや設定を持っています。

ピンクの魔獣（声 - 三森すずこ）
アイドルの魔獣（声 - 大橋彩香）
スポーツの魔獣（声 - 鈴木達央）
ぶりっ子の魔獣（声 - 山本希望）
（中途半端な）田舎の魔獣（声 - 杉田智和）
メイドの魔獣（声 - 西明日香）
（ニセ）魔法少女の魔獣（声 - 小松未可子）
ひとりぼッチの猿の魔獣（声 - 鈴村健一）
キノコ狩りの魔獣 / ナスターシャ佐藤（声 - 明坂聡美）
冬将軍（声 - 保志総一朗）
氷の女王（声 - 阿澄佳奈）

その他のキャラクター

お母さん：うららの母親で、ナリアの触媒となる血筋。氷の女王となっている。
王子（声 - 三苫紘平）
スクールカーストの高そうな女生徒トリオ（声 - 木下鈴奈、宮世真理子）
おばあちゃん（声 - 宮世真理子）
お父さん（声 - 髙橋聡之）

スタッフ

監督・シリーズ構成：石ダテコー太郎
脚本：山口正武、髙橋聡之、平間邦修
演出：山本太蔵
キャラクターデザイン・美術・色彩設計・原画：味噌山おかず
KiLA監督：cort
MMD監督：ポンポコP
音楽：井上純一、Hajime
音響制作：ポニーキャニオンエンタープライズ
プロデューサー：後藤裕、西矢泰之、小菅敬至
アシスタントプロデューサー：安野文左衣
生放送アニメシステム：KiLA
原作・アニメーション制作：バウンスィ
製作：なりあ☆がーるず製作委員会

主題歌

オープニングテーマ：「We are なりあ☆がーるず」（歌：なりあ☆がーるず）
エンディングテーマ：「めざせ！国民的キャラ」（歌：なりあ☆がーるず）

生ラジオ

『なりあ☆がーるずの生でラジオもつくるさま』は、ニコニコ生放送で『アニさま』終了後に放送されたチャンネル会員限定のラジオ反省会です。全12回放送され、後に一般会員も視聴できるようになりました。イベントや放送時間の変更を経て、2017年3月16日に最終回を迎えました。

関連動画

ニコニコチャンネルでは、以下の関連動画が配信されています。

『生でアニメをつくるさま 実写ダイジェスト』
『魔獣は語る ゲスト声優未公開アドリブパート』
『生でアニメをつくるさま 生放送スタッフの裏側』

まとめ

『魔法少女？なりあ☆がーるず』は、生放送アニメという斬新な形式で制作され、モーションキャプチャ技術を駆使した意欲的な作品でした。制作現場のドタバタやハプニングも楽しむことができる、視聴者参加型のバラエティのようなアニメとして、多くのファンに親しまれました。

もう一度検索