魚吹八幡神社

魚吹八幡神社：歴史と伝統が息づく播州の氏神

兵庫県姫路市網干区宮内にある魚吹八幡神社は、古くから地域の人々に親しまれてきた神社です。別名「津の宮」とも呼ばれ、神功皇后の三韓征伐にまつわる伝承が深く根付いています。その歴史は古く、延喜式神名帳に記載されている中臣印達神社の比定社の一つにも数えられています。由緒ある社として、地域の歴史と文化を今に伝えています。

境内には、江戸時代の力持ちとして知られる三ノ宮卯之助が持ち上げたという力石が保存されており、卯之助の像も建立されています。この力石は、神社の歴史と、地域の人々の信仰の深さを象徴する存在と言えるでしょう。

祀られている神々

神社には、武神として崇敬される応神天皇、三韓征伐で知られる神功皇后、そして玉依比賣命（たまよりひめのみこと）の三柱の神々が祀られています。それぞれが、地域社会の繁栄と安全を祈念する象徴として、信仰を集めています。

１年を通して行われる様々な祭事

魚吹八幡神社では、年間を通して様々な祭事が行われています。
武神祭（3月最終土曜日）： 姫路市指定無形民俗文化財に指定されている武神祭は、武道の発展と、地域社会の安全を祈念する重要な祭りです。
招魂祭（4月22日）： 鎮魂と慰霊を目的とした祭事です。
千燈祭（7月14日）： 無数の提灯が灯される幻想的な祭りは、夏の夜を彩ります。
秋季例祭（10月21日-22日）： 神社の年間最大の祭礼であり、「提灯祭り」として知られています。

圧巻の秋季例祭：播州を代表する祭りの一つ

特に有名なのが、10月に行われる秋季例祭です。この祭りは、播州地域最大規模を誇り、屋台18台、檀尻（だんじり）4台、獅子檀尻1台が参加する盛大なもので、兵庫県の無形民俗文化財に指定されています（2007年指定）。

祭りの起源は、三柱の神々が乗り移った神輿の御旅所への渡御の際に、御神灯として提灯が差し出されたことに始まると伝えられています。戦後、その祭りは次第に活況を帯び、宮入前の激しい練りが特徴となっています。

宵宮（10月21日）は、長さ約3メートルの青竹の先に提灯を下げて練り歩く「提灯練り」が有名です。夕刻から浜手の7地区が神社周辺で練り歩き、他の地区もそれぞれの地域で練り合わせを行い、夜には神輿と金幣が御旅所へと渡御します。

昼宮（10月22日）は、早朝から各地区の屋台などが御旅所に集結し、練り合わせが行われます。午後には神輿と金幣が神社に戻り、屋台などの宮入りとなります。「チョーサ」のかけ声とともに高く差し上げられる屋台や、獅子舞、檀尻芸など、多彩な奉納芸が繰り広げられます。2019年には、天皇の即位を祝うパレードも行われました。

祭礼地域と担い手

祭礼には、姫路市大津区、勝原区、網干区の複数の町と、揖保郡太子町糸井の23ヶ町が参加します。各地区は屋台、檀尻、獅子檀尻などを担当し、神輿や金幣の担い手も地区ごとに割り当てられています。それぞれの地区が伝統を守りながら祭りを盛り上げています。

文化財としての価値

魚吹八幡神社には、楼門、摂社敷島神社本殿、本殿などが、国や県、市の指定文化財に指定されています。また、秋季例祭風流と武神祭は、県や市の重要無形民俗文化財に指定されており、その歴史的、文化的価値の高さが認められています。

アクセス

山陽電鉄山陽[[網干駅]]、JR山陽本線網干駅からそれぞれ徒歩またはタクシーでアクセス可能です。

魚吹八幡神社は、歴史と伝統、そして活気あふれる祭りが一体となった、魅力あふれる場所です。ぜひ一度、訪れてみてください。

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