鯀

鯀（こん）についての詳細

概要

鯀（こん）は、古代中国において伝説的な人物や神格化された存在であり、姓は姒、名は鯀です。彼は、後に夏の初代皇帝となる禹の父として名高いのですが、その評価は決して高くありません。なぜなら、鯀は治水の失敗により「四罪」の一つに数えられ、歴史の中で否定的な面が強調されているからです。彼の爵位は崇伯とされ、『漢書』律暦志によれば、五世の祖は五帝の一人である顓頊（せんぎょく）とされています。

鯀の業績と失敗

鯀は堯の治世において、黄河の氾濫を治めるために任命されました。堯は、頻繁に起こる飢饉や災害に対処するために優れた治水技術をもつ者を求め、その結果、多くの臣下が鯀を推しましたが、堯は初めは彼を躊躇しました。それでも多くの支持があったため、最終的に彼は鯀に治水の責任を託けることになりました。しかし、任期9年の間、彼は黄河の氾濫を食い止めることができず、逆に被害を拡大させてしまいました。結果として、堯は鯀に責任を押し付け、新たに舜を後任に起用しました。

死の背景

治水の失敗により、舜がその後の治水プロジェクトを引き継ぐ際、彼は前任者である鯀の遺体を羽山で発見しました。この発見によって、舜に対する疑念も生まれましたが、舜は鯀の遺児である禹にその事業を引き継がせました。鯀の死因についてはいくつかの説が存在します。『韓非子』においては、堯が舜への譲位を決めた際に反対したため、羽山で誅されることになったとされています。また、『山海経』では、鯀が洪水の対策として必要な資材を得るために訪れた祝融によって命を落としたと記されています。

系譜と神話

一部文献には異なる系譜が記されていますが、共通しているのは禹が彼の子である点です。『山海経』では、鯀が黄帝の孫である白馬であるとし、神的な存在として描かれています。また、彼の子孫が「東夷」として知られる異民族になったと『史記』に記されています。更には、『山海経』大荒南経には、鯀の妻である士敬が炎融を生み、その子が讙頭人の祖先とされる話が存在します。

鯀の神話的存在

神話における鯀は、竜や馬、魚の姿に変化できる能力を持つ神であり、彼の治水にかかわる失敗は『息壤』を盗んだことが原因とされています。彼の物語は、古代の自然災害への人々の理解や当時の治水技術の不足を象徴しているのかもしれません。

関連項目

• - 四凶
• - 四罪
• - 讙頭人

以上が鯀に関する情報であり、その伝説的な役割と後の禹への影響を中心に考察されます。

もう一度検索