鷹取駅

鷹取駅：歴史と変遷を辿る神戸の駅

鷹取駅は、兵庫県神戸市須磨区大池町にある西日本旅客鉄道（JR西日本）山陽本線の駅です。駅番号はJR-A66で、「JR神戸線」の愛称区間にも含まれています。

開業と鷹取工場

鷹取駅の開業は、1900年（明治33年）4月1日。これは、鷹取工場の開設翌月とされており、従業員の通勤を目的とした駅でした。駅名もこの工場に由来し、工場名は当地から見える高取山（鷹取山）に因みます。かつては工場と駅を結ぶ通路があり、従業員専用の入口も存在しました。

地名の由来と変遷

駅の西南側にある「鷹取町」という地名は、駅周辺の市街地化が進んだ1924年（大正13年）に、それまでの「大字東須磨」の一部に新しく付けられたものです。駅が開業した当初は「鷹取」という地名は存在しませんでした。

貨物輸送の盛衰と専用線

鷹取駅は、かつて有蓋車用の貨物ホームや、昭和シェル石油神戸事業所や三菱石油神戸油槽所への石油輸送専用線を持っていました。専用線は駅西側から分岐し、国道2号線と交差して臨海部へと伸びていました。現在ではその跡地は駐車場や商業施設などに転用されていますが、カーブした道路に当時の面影を僅かに残しています。

鷹取工場の閉鎖と再開発

駅北側に位置していたJR西日本鷹取工場は、阪神・淡路大震災の被害と市街地復興事業によって、2000年3月31日に閉鎖されました。100年の歴史に幕を閉じました。工場は和田岬線の車両基地も兼ねていましたが、和田岬線の電化（2001年7月1日）に伴い、その機能も終了しています。工場跡地は現在、再開発が進められています。

駅の移り変わり

鷹取駅の所在地は、開業当初は神戸市野田村、その後長田区（区再編前は林田区）浪松町の一部を経て、現在は須磨区大池町の一部となっています。駅舎も、神戸大空襲による被災、改築などを経て現在の姿になっています。

駅構造と利用状況

鷹取駅は島式ホーム1面2線の高架駅で、改札口は南側に1ヶ所のみです。北側へは高架下の連絡通路を通ります。ICOCAなどのICカードが利用可能で、普通電車のみが停車します。JR西日本交通サービスによる業務委託駅で、みどりの券売機プラスも設置されています。駅構内には広大な留置線があり、鉄道ファンに人気の撮影スポットにもなっています。2022年度の1日平均乗車人員は約7539人です。

貨物駅との一体運営

鷹取駅は、日本貨物鉄道（JR貨物）の神戸貨物ターミナル駅と同一駅扱いになっており、場内・出発信号機を共用しています。そのため、関係者向けの時刻表などでは「鷹取・神タ」と表記されています。

留置線と訓練線

駅構内の留置線は、1931年（昭和6年）の灘駅-鷹取駅間高架化時に貨車操車場として設置されました。川崎重工業兵庫工場で製造された車両や和田岬線の車両は、この留置線に回送されます。また、この留置線の一部は、異常時対応能力向上のための訓練線として利用されています。

駅前広場と周辺環境

駅北側の鷹取工場跡地の再開発に伴い、2005年（平成17年）3月28日に北側にも駅前広場が完成しました。南側にはロータリーとタクシー乗り場、北側にはロータリー、タクシー乗り場、市バス発着場が整備されています。駅周辺には、商店街、学校、公共施設、商業施設などが多く立地し、生活利便性の高い地域となっています。

最後に

鷹取駅は、鷹取工場とともに発展し、地域の変遷を映してきた駅です。現在は、地域の生活基盤を支える重要な交通拠点として、そして鉄道ファンにも人気のスポットとして、その役割を担い続けています。今後も、地域の活性化に貢献していくでしょう。

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