鹿賀駅

鹿賀駅：三江線の歴史を刻んだ小さな駅

島根県江津市桜江町に存在した鹿賀駅は、西日本旅客鉄道（JR西日本）三江線に属する駅でした。1949年11月15日、石見川越駅と因原駅間に開業、三江線の歴史と共に歩み、2018年4月1日の三江線全線廃止により廃駅となりました。

開業から廃線まで：歴史をたどる

鹿賀駅の開業は1949年。当時は島根県邑智郡川越村に属していました。その後、桜江村、桜江町を経て、2004年には江津市に編入され、所在地も変更されました。1955年には三江北線として運行開始、1975年には現在の三江線の一部となりました。国鉄分割民営化後の1987年にはJR西日本が継承。2018年、長きにわたる歴史に幕を閉じました。

駅名の由来：川原の開拓地

駅名の由来は、江の川の川原に位置することにあります。「敷処（シキカ）」の転訛で、川原の土地を開墾したことに由来するとされています。この地名の歴史は、駅の開業よりもはるかに古く、長い時間をかけて育まれた地域性を反映しています。

駅舎と構造：簡素ながらも温かみのある空間

鹿賀駅は、浜原方面に向かって右側に単式ホーム1面1線を有する地上駅でした。無人駅であり、ホーム上に待合室を兼ねた小さな駅舎がありました。自動券売機などの設備はなく、シンプルながらも温かみのある空間でした。駅舎は老朽化により撤去されましたが、ホームや線路は廃線後も当時のまま残されています。

利用状況：地域に寄り添う存在

鹿賀駅の利用状況は、時代とともに変化しました。1984年度には1日平均59人の利用者があり、地域住民にとって重要な交通手段であったことがわかります。その後、減少傾向にあり、1994年度には34人にまで減少し、過疎化の影響が伺えます。

駅周辺：自然と一体となった環境

駅周辺は田畑が広がり、自然豊かな環境でした。江の川が流れ、国道261号も近くを通っています。「水ふれあい公園 水の国」や「コインレストランかわもと」といった施設もあり、駅は地域社会に密着した存在でした。石見交通のバス路線や江津市生活バスも利用可能で、公共交通の拠点としての役割を果たしていました。

愛称：地元の文化を反映

三江線活性化協議会によって、「道返し（ちがえし）」という愛称が付けられました。これは石見神楽の演目名にちなんでおり、駅前にある春日神社が神楽に登場するタケミカヅチを祀っていることに由来します。地元の文化と深く結びついた愛称は、駅の特色を表すものです。

隣の駅

石見川越駅
因原駅

まとめ

鹿賀駅は、三江線の歴史を物語る小さな駅でした。簡素な駅舎と自然豊かな環境、そして地域住民との密接な関係は、多くの思い出とともに、人々の心に深く刻まれています。廃線となってからも、当時の面影を残す駅跡は、かつての賑わいを感じさせる静かな場所として、訪れる人の心を癒しています。

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